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システム開発を外注して「こんなはずじゃなかった」と感じる瞬間 ― 受託開発とSESを正しく選ぶための実務ガイド ―

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はじめに:システム開発を外注して後悔する企業が後を絶たない理由

「業務をラクにしたい」「Excel管理をやめたい」と思ってシステム開発を外注したのに、完成後に現場から「使いにくい」「結局手作業が残ってる」と不満が出る――。中小企業の外注開発では、こうした“あるある”が後を絶ちません。原因は、開発会社の技術力だけではなく、発注側の準備不足や契約形態のミスマッチにあることが多いのが実情です。

今はDXや人手不足対策で、システム投資の重要度が上がっています。だからこそ「一度失敗すると、次の一手が打てない」という状態になりがちです。この記事では、外注で起きやすいトラブルの正体を整理しながら、受託開発とSESの違いを噛み砕いて解説します。読み終えるころには、「自社はどちらを選ぶべきか」「外注で失敗しないために何を準備すべきか」が判断でき、社内説明にも使える“軸”が手に入ります。

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「こんなはずじゃなかった」と感じる外注トラブルの正体

この章では、外注開発でよく起きる失敗を「なぜ起きるのか」という原因から整理します。ポイントは、トラブルが“偶然”ではなく、構造的に起きやすいパターンとして存在することです。
「要件」「費用」「運用」「契約形態」の4つの観点で見ていくと、発注側がどこでつまずきやすいかが明確になります。現場の管理者が、次の打ち手(準備・依頼の仕方・体制)を具体化するための土台にしてください。

① 要件を伝えたのに期待どおりのシステムにならない

結論から言うと、外注開発の“ズレ”は多くの場合、「要望」と「要件」が混ざったまま進むことで起きます。発注側は「こうしたい」を伝えているつもりでも、開発側は「どう作るか」を決めるための情報が足りず、結果として“それっぽいもの”が出来上がってしまうのです。重要なのは、最初から完璧な仕様書を作ることではなく、ズレやすいポイントを先に潰すことです。

  • 整理ブロック(ズレが起きる典型パターン:要望→要件の変換不足)

発注側が言いがち(要望) 開発側が知りたい(要件) ズレたときに起きること
「入力を簡単にしたい」 何を・誰が・いつ・どこまで入力する?必須項目は? 入力項目が多すぎて現場が使わない
「在庫を見える化したい」 どの単位(SKU/ロット/棚番)で、更新頻度は? 現場更新が追いつかず数字が信用されない
「承認フローを作りたい」 承認者は誰で、例外(不在/差し戻し)は? 例外処理ができず結局メール運用に戻る
「今のExcelをシステム化したい」 Excelの“例外運用”まで再現する必要がある? 例外が多く、開発が肥大化・費用増
  • 箇条書き(最低限、発注側が整理しておくとズレが減る情報)

    • 目的:何を改善したいのか(例:転記をなくす、承認を早くする)

    • 対象業務:どの部署・どの業務の話か(例:営業の見積、工場の実績)

    • 利用者:使う人の人数・ITリテラシー・利用頻度

    • 制約条件:期限、予算、既存システムとの連携有無

補足すると、現場でよくあるのが「口頭で伝えたから大丈夫」という状態です。しかし、開発は“言った言わない”が起きると一気に揉めます。たとえば担当者のセリフで言うと、
「これ、入力項目多くないですか?現場、絶対やらないですよ…」
という声が出た時点で、要件の詰め不足が露呈しています。最初は荒くてもよいので、上の整理ブロックの観点で“言語化”しておくと、完成後の後悔が激減します。

② 見積もりより費用が膨らみ、社内説明に苦しむ

結論はシンプルで、費用が膨らむ原因の多くは、「想定していなかった作業」が後から増えることです。外注開発の見積もりは、家のリフォームと似ています。壁を開けてみたら配線が古くてやり直しが必要、のように、要件が固まっていない段階では“幅”が出ます。大事なのは、追加費用をゼロにすることではなく、追加が起きる前提でコントロールする仕組みを持つことです。

  • 整理ブロック(追加費用が発生しやすい要因)

追加になりやすい項目 ありがちな見落とし 事前にできる対策
仕様変更(画面・項目追加) 現場ヒアリングが後出し 早めに“代表ユーザー”を決めて合意を取る
データ移行(Excel→システム) データが汚い/揺れている 移行対象の範囲と品質を先に棚卸しする
権限・承認の例外 「不在時」「兼務」の処理 例外パターンを洗い出し、優先度を付ける
テスト・教育 “使い方説明は無料”と思いがち 研修・マニュアルを見積もりに含める
連携(会計/販売管理/勤怠) API/仕様が不明 連携対象の仕様確認を先に実施する
  • 番号付きリスト(社内説明がラクになる見積もりの見方)

    1. 初期費用:作る費用(要件定義・開発・テスト)

    2. 運用費:保守、サーバー、監視などの毎月費用

    3. 変更多発の予備費:追加改修の“枠”を最初から確保

    4. 成果物の範囲:何が含まれ、何が含まれないか(これが最重要)

補足として、担当者がよく悩むのが社内での説明です。
「最初の見積もりより上がってるけど、どこが増えたの?」
と聞かれたとき、上の表のように“増えるポイント”を事前に説明できると、炎上しにくくなります。逆に、見積もりの内訳がざっくりしすぎている場合は、後からの増額が“納得されにくい”ので注意が必要です。

③ 開発会社に任せきりで、社内にノウハウが残らない

結論として、外注でノウハウが残らない最大の原因は、システムがブラックボックス化し、運用や改善が「開発会社に聞かないと進まない」状態になることです。これが起きると、軽微な修正でも見積もり→発注→納期待ちになり、現場の改善スピードが止まります。中小企業ほど担当者が兼務であるため、ブラックボックス化は“地味に効く”痛手になります。

  • 整理ブロック(ブラックボックス化のサインと影響)

ブラックボックス化のサイン 現場で起きる困りごと 経営・管理者側のダメージ
「設定画面が触れない」 軽い項目変更でも依頼が必要 改善が遅れ、DX効果が出ない
「仕様書がない/古い」 問い合わせ時に説明できない ベンダー変更が実質不可能
「誰が何を決めたか不明」 要望の優先順位が迷子 プロジェクトが迷走しやすい
「運用手順が属人化」 担当交代で止まる 退職・異動のリスクが高い
  • 箇条書き(ノウハウを残すために“最初から”決めること)

    • 管理者が触れる設定範囲(ユーザー、権限、項目、通知など)

    • ドキュメントの種類(仕様書、運用手順、障害時対応)

    • 定例会の議事録と決定事項(後で揉めないための記録)

    • 引き継ぎ可能な“運用トレーニング”の実施

補足すると、現場担当者のセリフでよくあるのが、
「この項目名、変えたいだけなんですけど…また見積もりですか?」
という状態です。これが積み重なると、改善が止まり「結局Excelに戻ろう」となります。ノウハウを残すには、開発完了時点で“引き渡し物”を明確にすることが重要です。特に、設定変更できる範囲を確保すると、日々の改善が自走しやすくなります。

④ 「受託開発」「SES」の違いを理解しないまま発注している

結論は、外注トラブルの根っこには「契約形態の選び間違い」があります。受託開発は“成果物(システム)を納品する契約”、SESは“人(エンジニアの稼働)を提供する契約”です。ここを混同すると、「丸投げしたのにうまくいかない」「伴走してほしいのにやってくれない」など、期待がズレます。つまり、失敗の多くは“発注の前提”で起きているのです。

  • 整理ブロック(受託開発とSES:期待がズレやすいポイント)

項目 受託開発 SES
何を買う? システム(完成物) 人の稼働(作業時間)
成果責任 基本はベンダー側(契約範囲内) 基本は発注側の管理・指示が重要
向いている状況 要件が固まっている/納期重視 要件が流動的/一緒に作りながら改善
失敗パターン 要件が曖昧で追加が増える 管理できず“何が進んだか不明”になる
発注側に必要な役割 要件の合意、受入テスト 優先順位付け、日々の判断、タスク管理
  • 箇条書き(契約形態を間違えると起きやすいこと)

    • 受託で「全部お任せ」のつもりが、要件の決定が進まず停滞

    • SESで「完成まで責任を持ってほしい」と思い、期待が空回り

    • 工数の考え方が合わず、費用感に納得できない

補足として、ここが理解できると、外注先との会話が変わります。例えば見積もり時に、
「この案件、要件が固まってない部分が多いので、最初はSESで伴走して要件を詰め、固まったら受託で作り切るのはどうですか?」
という提案が“合理的”に見えるようになります。契約形態の理解は、外注の成功率を上げる最短ルートです。

受託開発とSESの違いをわかりやすく整理する

この章では、受託開発とSESを「言葉の定義」ではなく、現場の意思決定に使える形で整理します。中小企業の管理者にとって重要なのは、契約の細かな条文よりも、

  • 責任範囲はどこまでか

  • 自社が何を準備し、何を判断する必要があるか

  • コストがどう増減するか
    を理解することです。比較表を使いながら、社内説明にも流用できる“判断軸”を作っていきます。

① 受託開発とは何か?中小企業が誤解しやすいポイント

結論として、受託開発は「システムを作って納品する」契約なので、成功の鍵は“作るものを決める”ことにあります。よくある誤解は「お金を払えば良い感じに作ってくれる」という期待です。しかし、受託は“ゴールが決まっている競技”に近く、ゴール(要件)が曖昧だと、途中で追加が増えたり、期待と違う完成物になりがちです。

  • 整理ブロック(受託開発の基本イメージ)

観点 内容 中小企業がハマりやすい誤解
ゴール 契約で決めた範囲のシステムを納品 「運用改善まで全部やってくれる」
進め方 要件定義→設計→開発→テスト→納品 「要件は作りながら決めればいい」
コスト 機能・範囲が増えるほど上がる 「少しの追加なら無料でしょ」
成果責任 契約範囲内の品質はベンダー責任 「使いやすさは当然担保される」
  • 箇条書き(受託開発で“最初に”押さえると失敗しにくいポイント)

    • 優先順位:必須(Must)と、できれば(Want)を分ける

    • 受入条件:何ができたら“完成”なのかを合意する

    • 例外運用:全部再現しない。重要な例外だけ残す

    • 運用側の参加:現場代表が要件定義に必ず入る

補足として、現場のセリフで言うと、
「これ、確かに要望は言ったけど…現場の“いつものやり方”が入ってない」
が受託の典型トラブルです。受託開発は、要件を固めれば強い(納期・予算が読みやすい)反面、固めないとズレる。ここを理解するだけで、外注の勝率が上がります。

② SESとは何か?「人を借りる」開発スタイルの実態

結論として、SESは「システムを買う」のではなく、“一緒に作るための人手(エンジニア)を確保する”契約です。よく「SES=外注」と一括りにされますが、実態は“社内メンバーが増える”に近いです。だからこそ、SESがハマると改善スピードが出ますが、管理が弱いと「何が進んだのか分からない」という状態にもなります。

  • 整理ブロック(SESの基本イメージ)

観点 内容 発注側に必要なこと
何を提供? エンジニアの稼働(時間) 何をやるかを決める(優先順位)
進め方 相談しながら小さく作って改善 週次などでタスク管理・合意
コスト 稼働時間に比例(人月など) 目的・成果の“見える化”が必須
成果責任 成果は共同(指示・判断が重要) 社内の窓口・意思決定者が必要
  • 番号付きリスト(SESで成果が出やすい運用の型)

    1. 週1回の定例で「今週やること」を決める

    2. 迷ったら“業務効果が大きい順”で優先度を付ける

    3. 作ったものを現場に触ってもらい、翌週改善する

    4. 議事録で「決めたこと」を残す(属人化防止)

補足として、SESは「任せる」ではなく「伴走する」です。担当者の体感としては、
「相談しながら進められるから、現場の反応を見て方向転換できる」
がメリットになります。一方で、窓口が忙しすぎて判断が遅れると、稼働だけが消費されてしまいます。SESを使うなら“判断する時間を確保する”ことも、コストの一部だと捉えるのが現実的です。

③ 責任範囲・コスト・進め方の違いを比較する

結論として、受託とSESの違いは「どっちが得か」ではなく、不確実性(要件が変わる可能性)を誰が引き受けるかの違いです。要件が固まっているなら受託が向きますし、変わるならSESの方が柔軟です。ここを表で整理しておくと、社内の稟議や上司説明が一気に通しやすくなります。

  • 整理ブロック(比較表:意思決定に使う版)

観点 受託開発が向く SESが向く
要件の確定度 ほぼ固まっている まだ固まっていない
目的 “完成”させたい(納品重視) “改善”し続けたい(運用重視)
発注側の体制 窓口はいるが、判断回数は少なめ 判断・優先順位付けが継続的に必要
コスト管理 範囲が固定なら管理しやすい 稼働の使い方次第で増減
リスク 追加変更で費用増 管理不足で成果が見えにくい
  • 箇条書き(選び間違いを減らすチェック質問)

    • 3か月後も要件は変わらないと言えますか?

    • 現場の運用フローは標準化できていますか?

    • 社内で“決める人”が週1回は時間を取れますか?

    • まずは小さく始めて効果検証したいですか?

補足として、例えば「紙の申請をなくしたい」だけなら受託でも進めやすいですが、「業務全体を見直しながら最適化したい」ならSESが合うことが多いです。大切なのは、プロジェクトの性質に合わせて“型”を選ぶことです。

④ 「どちらが良いか」ではなく「どう使い分けるか」が重要

結論として、実務では「受託かSESか」の二択ではなく、段階で使い分けるのが成功しやすいです。特にDXや業務改善は、最初から要件が固まりにくいので、最初はSESで業務整理・試作をし、固まった部分を受託で作り切る――という“ハイブリッド”が現実的なケースも多いです。

  • 整理ブロック(使い分けの代表パターン)

フェーズ 目的 向く形態 成果物の例
企画・業務整理 何を変えるか決める SES 業務フロー、要件の優先順位
試作・検証 小さく作って試す SES 簡易画面、入力フォーム、PoC
本開発 固まった要件を作り切る 受託 本番システム、テスト結果
運用改善 使いながら改善 SES(or保守契約) 改善バックログ、追加機能
  • 箇条書き(ハイブリッドが向く中小企業の特徴)

    • 現場の要望が多く、優先順位がまだ決まっていない

    • 一度に大規模投資するのが不安(小さく始めたい)

    • 運用しながら改善したい(“作って終わり”にしたくない)

補足として、管理者の言葉で言うと、
「最初から完璧は無理だから、まず動くものを作って現場で確かめたい」
という状況なら、段階分けは非常に有効です。重要なのは、契約形態そのものよりも、自社の進め方(判断・合意・改善)が回る設計になっているかです。

受託開発が向いている企業・向いていない企業

この章では、「受託開発を選ぶべきかどうか」を自社判断できるように整理します。受託開発は、要件が固まっているほど強く、納期や予算の見通しを立てやすい方法です。一方で、要件が曖昧なまま受託で突っ込むと、追加費用や認識ズレが起きやすくなります。
ここでは、向いている企業像・向いていない企業像を具体化し、さらに“向いていない”場合の対処(体制の作り方)まで落とし込みます。

① 要件が明確で、完成イメージが固まっている企業

結論として、受託開発が最も力を発揮するのは、「何を作るか」がはっきりしている企業です。業務フローが比較的安定していて、必要な画面や帳票のイメージが言語化できる場合、受託は納期・予算のコントロールがしやすくなります。逆に言うと、要件が固まっていないと受託の強みが出ません。

  • 整理ブロック(受託開発が向く条件チェック)

チェック項目 YESなら受託向き NOなら注意
業務フローが整理されている 要件が固まりやすい 現場ごとにやり方が違う
必須機能が言える 見積もりが安定 要望が次々出る
期限が明確 納品型が合う まずは試したい
現場代表が参加できる ズレを減らせる 要件が口頭のまま
  • 箇条書き(完成イメージを固める“現場質問”の例)

    • 「この作業、今は何分かかってる?どこが一番面倒?」

    • 「入力したいのは“誰が”“いつ”“どこで”?」

    • 「最後に欲しいアウトプットは?(帳票・一覧・通知)」

    • 「例外があるとしたら、どんな時?」

補足として、「要件が明確」というのは“IT用語で仕様書が書ける”という意味ではありません。現場の言葉で“何が困っていて、何ができたら嬉しいか”が整理できていれば十分です。そこが揃う企業ほど、受託でスムーズに進みやすいです。

② 社内にIT専任者がいない企業が注意すべき点

結論は、IT専任者がいない企業が受託開発を選ぶ場合、窓口が孤立しやすい点に注意が必要です。受託は要件の合意・受入テスト・運用設計など、発注側の判断が一定量必要です。兼務の担当者が一人で抱えると、判断が遅れてプロジェクトが停滞し、結果的にコストも上がります。

  • 整理ブロック(IT専任なし企業が詰まりやすい場面)

詰まりポイント 何が起きるか 現実的な対策
要件の合意 現場が後から反対 現場代表+決裁者の“ミニ会議”を週1で固定
受入テスト 使い勝手が検証されない 「想定業務シナリオ」を作ってテストする
運用設計 誰が何をするか不明 役割分担(入力/承認/管理)を表で決める
ベンダー対応 質問が溜まり遅れる 質問受付の窓口を一本化し、回答期限を決める
  • 箇条書き(兼務担当が守るべき“最低ライン”)

    • 決める人(決裁者)を早めに巻き込む

    • 現場代表を1~2名選び、要件の合意を取る

    • 週1回、30分でもいいので“判断の場”を固定する

補足すると、担当者の実感としては、
「ベンダーから質問が来るたびに現場に聞きに行って、回答が遅れてしまう」
がよく起きます。IT専任がいなくても成功はできますが、体制の工夫(判断を集約する仕組み)がないと、受託のプロジェクトは止まりやすいです。

③ 「丸投げしたい」という考えが失敗を招く理由

結論として、丸投げは“ラク”に見えて、実は最も失敗しやすい発注スタイルです。理由は、業務の細かい判断(例外処理、優先順位、現場の使い方)を、外部の開発会社だけで正解に寄せるのは難しいからです。受託開発は特に、発注側が「何を正解とするか」を示さないと、ズレた完成物になりやすい構造があります。

  • 整理ブロック(丸投げが招く典型的な“悪循環”)

ステップ 発注側の状態 結果
1 要望だけ伝えて任せる 要件が曖昧なまま進む
2 開発側が解釈して作る 現場に合わない仕様が混ざる
3 途中で現場が気づく 変更が増え、費用・納期が膨らむ
4 不満が出て使われない 「外注は失敗だった」になる
  • 箇条書き(丸投げにならないための“発注側の役割”)

    • 優先順位を決める(全部はできない)

    • 現場の代表意見を集めて合意する

    • 受入の基準を決める(何ができたらOKか)

    • 運用の責任者を決める(使い続ける体制)

補足として、丸投げ志向の背景には「忙しい」「ITが分からない」があります。だからこそ、丸投げではなく“伴走型”に寄せる工夫(現場代表を置く、週1判断する)を入れるだけで、成功率が上がります。

④ 受託開発で成功しやすい中小企業の共通点

結論として、受託開発で成功する企業は「ITに詳しい」よりも、意思決定と合意形成ができる企業です。要件を完璧に作る必要はありませんが、優先順位を付け、現場の合意を取り、運用まで見据える――この“当たり前”を仕組み化できる企業は強いです。

  • 整理ブロック(成功企業の共通点)

観点 成功しやすい企業 失敗しやすい企業
目的 業務課題が明確 「とりあえずDX」
体制 現場代表+決裁者が関与 窓口が一人で孤立
優先順位 Must/Wantが分かれている 要望が全部“必須”
運用 導入後の担当が決まっている 導入後はベンダー頼み
  • 番号付きリスト(受託成功の“最短ルート”)

    1. 対象業務を絞る(最初から全部やらない)

    2. 現場の“困りごと”を3つに絞る

    3. 必須機能を決めて合意する

    4. 受入テストのシナリオを作る

    5. 運用担当とルールを決める

補足として、成功企業は「途中で迷ったら目的に戻る」ことができます。結果、追加変更が減り、納期遅延も起きにくくなります。受託は、発注側の“整理力”が成果に直結する開発形態です。

SESが向いている企業・プロジェクトの特徴

この章では、SESが向いているケースを具体化します。SESは「人の稼働」を提供するため、要件が揺れるプロジェクトや、社内で改善を回したい企業にフィットしやすい一方、管理が弱いと成果が見えにくいという課題もあります。
ここでは、SESが有効な状況と、成果を出すための運用のコツ(管理者が押さえるべきポイント)を、現場目線で整理していきます。

① 要件が流動的で、試行錯誤しながら進めたい場合

結論として、要件が固まっていないなら、最初から受託で“固定”するより、SESで試行錯誤しながら固める方が失敗しにくいです。DXの現場では「やってみたら違った」「現場の反応で変えたい」が必ず出ます。SESはその変化を前提に進められるため、ズレの修正がしやすいのが強みです。

  • 整理ブロック(要件が流動的なプロジェクト例)

プロジェクト例 なぜ要件が揺れる? SESが向く理由
業務改善(紙→デジタル) 現場の例外が多い 作りながら例外を整理できる
新規サービス立ち上げ 顧客要望が変わる 優先順位を週次で変えられる
複数部署にまたがる申請 合意形成に時間がかかる 部署間調整しつつ段階導入できる
Excel乱立の統合 “正”が部署で違う まず現場を見て整理できる
  • 箇条書き(試行錯誤を前提にした進め方のコツ)

    • 最初は“最小機能”で動くものを作る(入力→一覧→承認など)

    • 現場に触ってもらい、改善点をその場で回収する

    • 追加要望は全部やらず、効果が大きいものから実装する

補足として、現場担当者のセリフで言うと、
「これ、実際に触ると“必要な項目”が分かりますね」
が出てくるのがSES向きの状況です。要件が揺れること自体は悪ではなく、揺れを前提にコントロールできるかが重要です。

② 社内メンバーと一緒に開発・改善を進めたい企業

結論として、SESは「外注」より「社内チームの増員」に近く、社内メンバーと一緒に改善を回したい企業に向きます。たとえば、現場の声をすぐ反映したい、運用しながら改善したい、内製化(自社で少しずつ作れる状態)に近づけたい――こうした目的にはSESが合いやすいです。

  • 整理ブロック(受託とSES:コミュニケーションの違い)

項目 受託開発 SES
関わり方 依頼→納品(間接的) 日々一緒に作る(直接的)
仕様決定 事前合意が中心 相談しながら決める
現場の声 反映が遅れがち 反映が早い
ノウハウ 外部に残りやすい 社内に残しやすい
  • 箇条書き(SESで“伴走”が活きる企業の特徴)

    • 現場改善を継続的に回したい

    • IT担当がいなくても、現場リーダーが判断できる

    • 将来的に内製化に近づけたい(外注依存を減らしたい)

補足として、管理者がイメージしやすいのは、
「現場の隣に“ITが分かる人”がいて、すぐ相談できる状態」
です。SESの価値は、仕様書ではなく“判断と改善”を早く回せることにあります。

③ 小さく作って、徐々に育てたいシステム開発

結論として、いきなり大規模システムを作るより、小さく始めて効果を確認しながら育てる方が、中小企業のDXでは成功しやすいです。予算・人員・現場の負担を考えると、段階導入は現実的です。SESはこの段階導入と相性がよく、改善のスピードを落とさずに進められます。

  • 整理ブロック(段階導入の例:小さく始めるロードマップ)

段階 まずやること 成果の見え方
Step1 入力を一本化(フォーム化) 転記が減る/入力漏れが減る
Step2 一覧・検索・集計 状況把握が早くなる
Step3 承認・通知 手戻りが減る/処理が速くなる
Step4 他システム連携 二重入力が減る/全体最適へ
  • 番号付きリスト(小さく育てるときの注意点)

    1. 最初のスコープを“狭く”決める(部署・業務を絞る)

    2. 成果指標を決める(例:処理時間、転記回数、ミス件数)

    3. 現場のフィードバック回収をルーチン化する

補足として、現場の実感が出るのは、
「まず入力が統一されただけでも、月末集計が楽になった」
のような小さな成功です。小さな成功を積むほど、次の投資判断がしやすくなり、DXが“掛け声”で終わりにくくなります。

④ SESを使う際に管理者が押さえるべきポイント

結論として、SESで成果を出すには「管理しないといけない」と身構えるより、成果が見える運用の型を作るのが重要です。SESは自由度が高い分、タスク・成果・優先順位が曖昧だと、稼働が消費されるだけになってしまいます。管理者が押さえるべきは、細かな進捗管理よりも“判断と可視化”です。

  • 整理ブロック(SES運用で最低限必要な管理ポイント)

管理ポイント 具体的にやること うまくいく理由
目的の明確化 今月のゴールを一言で言う 迷った時に戻れる
優先順位 Backlog(やることリスト)を作る 重要から着手できる
成果の可視化 週次で「できたこと」を共有 稼働の納得感が出る
判断の場 週1回の定例で決め切る 停滞しない
現場の参加 代表者に触ってもらう 使われるものになる
  • 箇条書き(SESが失敗しやすい“危険サイン”)

    • 何を作っているか、社内で説明できない

    • 定例がなく、相談がチャットで散発的

    • 現場が最後まで触らず、完成直前に不満が出る

    • 判断する人が不在で、エンジニアが手待ちになる

補足として、担当者のセリフで言うと、
「今週、何を優先しますか?判断がないと進められません」
が出たら危険信号です。逆に、週次で“決める場”があるだけで、SESは成果が見えやすくなります。忙しい中小企業ほど、型で回すのがコツです。

「失敗しない外注」を実現するための考え方

この章では、受託・SESのどちらを選んでも通用する「失敗しないための共通原則」を整理します。外注の失敗は、ツールや技術の問題というより、準備・意思決定・関係性の問題で起きます。
特に中小企業では、兼務担当者が多く、情報が分散しやすいので、最初に“整理の型”を作っておくことが重要です。この章を読めば、外注先選びの前に何をすべきか、どんなパートナーを選ぶべきかが具体化できます。

① 開発会社を選ぶ前に、社内で整理すべきこと

結論として、開発会社を比較する前に、発注側が「何を成功とするか」を整理しておくことが最重要です。これがないと、提案内容や見積もりを比べようがなく、価格だけで選んでしまいがちです。社内整理は“資料作り”ではなく、プロジェクトを前に進めるための合意形成です。

  • 整理ブロック(社内で最低限整理すべき項目)

整理項目 具体例 目的
課題 転記が多い、承認が遅い “何のため”を明確化
対象範囲 まずは営業の見積だけ スコープ膨張を防ぐ
優先順位 必須3つ+できれば3つ 見積もりが安定する
体制 窓口、現場代表、決裁者 判断が止まらない
成果指標 処理時間30%削減など 効果検証・社内説明
  • 箇条書き(社内ヒアリングの進め方:兼務でも回る型)

    • 現場に「困りごと」を3つ挙げてもらう

    • それを“時間・ミス・手戻り”の観点で深掘りする

    • 最初にやる範囲を絞り、合意を取る

補足として、ここを飛ばすと、提案を見ても「良さそう」しか言えず、社内稟議が通りにくくなります。逆に、整理項目が揃うと、外注先との会話も具体化し、ミスマッチが減ります。

② 契約形態よりも「伴走してくれるか」を見る

結論として、成功する外注先の特徴は、契約形態そのものよりも、発注側の状況を理解し、一緒に整理してくれる姿勢があることです。中小企業の現場では、要件が最初から完璧に出ないのが普通です。そこを責めるのではなく、言語化を手伝い、優先順位付けを支援してくれるパートナーが“当たり”です。

  • 整理ブロック(良い外注先の見極めポイント)

見極め視点 良い兆候 注意すべき兆候
ヒアリング 業務フローを深掘りする いきなり機能の話だけする
提案 優先順位を付けて提案 全部盛りで高額になる
リスク説明 追加になりやすい点を先に言う 都合の悪い話をしない
進め方 定例・合意プロセスが明確 「お任せで大丈夫」だけ
引き継ぎ ドキュメント・設定範囲を示す ブラックボックス前提
  • 箇条書き(初回打ち合わせで聞くと効果的な質問)

    • 「要件が固まってない場合、どう進めますか?」

    • 「追加費用が出やすいのはどこですか?」

    • 「導入後、社内で触れる範囲はどこまでですか?」

    • 「運用や改善はどういう体制になりますか?」

補足として、伴走してくれる会社ほど、最初に“痛い話(リスク)”もしてくれます。そこを嫌がらずに説明できる会社は、長期的に信頼しやすい傾向があります。

③ 「一度きり」ではなく「長く付き合える関係」を意識する

結論として、システム開発は「作って終わり」ではなく、使いながら改善して価値が出るものです。だから外注先は、納品の瞬間だけでなく、運用・改善・担当交代まで見据えて選ぶべきです。短期の価格だけで選ぶと、後から変更・保守で困りやすくなります。

  • 整理ブロック(長く付き合える関係に必要な条件)

観点 重要な理由 確認ポイント
保守体制 障害時に止まると致命的 連絡窓口、対応時間
改善のしやすさ 現場の要望は必ず出る 改修の進め方、費用感
ドキュメント 担当交代に必須 更新頻度、提供範囲
ベンダーロック 変更できないと高コスト 引き継ぎ可能性、権限範囲
  • 箇条書き(“後で効く”運用の観点)

    • アカウント管理、権限設計は誰がやるか

    • データのバックアップ、復旧はどうするか

    • マニュアルは現場が読める形か

    • 改善要望の受付ルートがあるか

補足として、現場の声は導入後にこそ増えます。長く付き合える関係を前提にすると、「最初から全部作り込む」より「改善しやすい土台を作る」方向に舵が切れ、結果的に失敗しにくくなります。

④ 中小企業こそ、ハイブリッドな選択肢を検討する

結論として、中小企業の外注では「受託 or SES」の固定ではなく、ハイブリッド(組み合わせ)が現実的な解になることが多いです。理由は、最初は要件が曖昧でも、進めるうちに固まる部分が必ず出てくるからです。曖昧な部分はSESで伴走し、固まった部分を受託で作り切る――これが“最短で失敗しにくい”パターンになります。

  • 整理ブロック(ハイブリッドの具体例)

よくある状況 先にSESでやること 受託で作り切ること
現場要望が多い 優先順位付け、試作 固まった画面・帳票の本実装
部署間調整が必要 合意形成、運用ルール整理 承認フローの本番化
Excel乱立 データ定義、入力統一 マスタ・集計機能の本実装
期限もある 最小機能をまず稼働 段階的に機能追加
  • 番号付きリスト(ハイブリッドを成功させるポイント)

    1. 最初の1〜2か月は“整理と試作”に寄せる

    2. 固まったら受託に切り替え、納期と範囲を固定する

    3. 運用改善はSESまたは保守で回す(改善窓口を残す)

補足として、管理者が目指すべきは「最初から正解を当てる」ではなく、「外さない進め方を選ぶ」ことです。ハイブリッドは、そのための実務的な選択肢になります。

まとめ:システム開発の外注で後悔しないために大切なこと

システム開発の外注で「こんなはずじゃなかった」と感じる背景には、要件のズレ、費用の膨張、ブラックボックス化、そして契約形態のミスマッチがあります。受託開発とSESは優劣ではなく、プロジェクトの不確実性をどう扱うかで向き不向きが決まります。

  • 本記事の要点(整理)

    • 要望と要件が混ざると、完成物がズレやすい

    • 追加費用は“想定外の作業”が増えることで起きるため、事前に増えやすい点を潰す

    • ノウハウが残らないと改善が止まり、結局使われなくなる

    • 受託=成果物、SES=人の稼働。前提を理解し、段階で使い分けると成功しやすい

まず何から始めるべきか迷ったら、「対象業務を絞る」「困りごとを3つに絞る」「必須機能を決める」の3点から着手してください。これだけでも外注先との会話が具体化し、見積もり比較や社内説明が格段にラクになります。

もし「受託とSES、結局うちはどっちが良い?」「要件が固まってないけど進めたい」と悩んでいるなら、一度“現状整理”から相談できるパートナーに話してみるのがおすすめです。売り込みではなく、まずは状況を言語化するだけでも、次の判断がしやすくなります。問い合わせ・相談フォームから、現状の課題感だけでも気軽に共有してみてください。

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