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なぜ今、ビジネスチャットが「業務基盤」になるのか?中小企業が見落としがちな導入のメリットと選定ポイント

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目次

はじめに:なぜ今、ビジネスチャットが注目されるのか

コロナ禍を契機としたテレワークの拡大、業務のデジタル化推進、働き方改革の潮流──こうした変化を背景に、企業のコミュニケーション手段は大きく変わりつつあります。特に注目されているのが「ビジネスチャット」です。

中小企業では依然として「メール」「電話」「対面」でのやり取りが主流の現場も少なくありません。しかし、それでは情報伝達のスピードや正確性、可視化といった点で限界があります。ビジネスチャットは、こうした従来の手法の課題を解消し、日常業務に欠かせない“業務基盤”としての地位を確立しつつあるのです。

本記事では、ビジネスチャットがなぜ今重要なのかをわかりやすく解説し、導入検討中の中小企業担当者に向けて「導入すべき理由」「比較すべきポイント」「定着化のコツ」まで、体系的にご紹介していきます。

Mattermostサービスページ

メールでは限界? ビジネスチャットが求められる理由

企業のコミュニケーションツールといえば、長らく「メール」が主役でした。しかし、変化の早い時代において、メールでは対応しきれない業務ニーズが増えています。ビジネスチャットはその隙間を埋め、より柔軟でスピーディなやり取りを実現します。

メールのタイムラグと情報分断が生む非効率

ビジネスの現場では、「メールを送ったが返ってこない」「添付ファイルが古いものだった」「関係者にCCを忘れていた」といったコミュニケーションミスが、少なからず業務効率を落としています。
こうした課題の原因は、以下のようなメール特有の構造的な弱点にあります。

課題 内容
タイムラグ 相手の受信確認や返信が遅れ、意思決定が停滞する
情報分断 関係者ごとのスレッドに情報が分散、全体像が見えない
再現性の欠如 過去のやりとりを探すのに時間がかかる
属人化 担当者が休むと経緯が把握できず、業務が止まる

「即レス文化」が業務スピードを加速させる

メールでは、文面の丁寧さやマナーを重視するあまり、返事が遅くなることがあります。これが**“遅延の文化”**を生み、業務のスピード感を損なっています。

一方、ビジネスチャットでは以下のような特徴があります。

  • 「了解です」「確認しました」といった**短文返信(即レス)**が当たり前

  • 通知機能で相手が即座にメッセージに気づける

  • 既読機能により、受信状況を可視化できる

たとえば「A案件の納期はいつでしたか?」という質問に、1時間後に返すのと、1分後に返すのとでは、業務スピードに大きな差が出ます。即レスの文化が定着すれば、社内全体の生産性が底上げされるのです。

業務の「履歴」が自然と蓄積される利点

ビジネスチャットの大きな利点の一つが、「やりとりの履歴が残ること」です。特にスレッド機能やチャンネル別管理によって、業務の経緯が可視化されます。

例えば、

  • 「なぜこの価格で提案したのか」

  • 「誰がいつ決定したのか」

といった業務履歴が、チャットの中にすべて残るため、担当者変更や引き継ぎ時もスムーズ。属人化のリスクが下がり、組織の知的資産が自然と蓄積されていきます。

さらに、検索機能によって「●●の議事録は?」「先月の見積内容は?」といった情報もすぐに呼び出せるため、再発行・再確認の手間も省けます。

「社内の空気」が見えるようになる

リモートワークが進む中、社内の雑談や「ちょっとした声かけ」が失われ、コミュニケーション不足が課題になっています。

ビジネスチャットでは、「雑談チャンネル」や「スタンプ」「リアクション」機能を活用することで、非言語的なやりとりもカバーできます。

たとえば:

  • お祝いに🎉スタンプ

  • お疲れ様に👏スタンプ

  • 雑談スレッドで趣味の話題を共有

こうしたちょっとした交流が、チームの一体感や心理的安全性を育むのです。業務外のコミュニケーションが自然と生まれる環境づくりは、ビジネスチャットの大きな魅力です。

情報共有のスピードと精度をどう変えるのか?

ビジネスチャットの導入により、単なるやり取りの効率化だけでなく、情報共有の構造そのものが進化します。ここでは、チャットが業務情報の整理・保存・活用方法をどう変えるのかに注目します。

プロジェクトごとに「部屋」を作ると情報整理が劇的に変わる

ビジネスチャットでは、SlackやMattermostなど多くのツールで**「チャンネル(部屋)」の概念**があります。これがプロジェクト管理や部門間連携に絶大な効果を発揮します。

活用イメージ

チャンネル名 用途例
#sales 営業部の日常連絡・進捗共有
#proj-abc ABCプロジェクトのタスク・議事録共有
#qa 全社からの質問対応窓口
#zatsudan 雑談・オフの交流用
  • 関係者のみが情報にアクセスできる

  • メールのように情報が散らばらない

  • 見落とし・重複連絡が減る

というメリットが生まれます。「情報の居場所を決める」だけで、業務効率は飛躍的に向上するのです。

ファイル共有・議事録の集約もチャットで完結

ビジネスチャットでは、PDF・Excel・画像・動画などのファイル共有もスムーズです。例えば会議後すぐに議事録ファイルを投稿したり、スクリーンショットを貼って修正依頼を出したりといった使い方ができます。

さらに、

  • URLを貼ると自動でタイトルや内容をプレビュー

  • 投稿にメモやタグを付けられる

  • 特定の投稿をピン留めし、いつでも参照可能

といった機能があり、「ファイルの意味づけ」もチャット内で完結します。外部の共有ドライブやメールを介する手間が減り、作業の連続性が途切れません

過去ログ検索の使いやすさが、業務効率を左右する

チャットの過去ログ検索は、メールと比べて格段に優れています。多くのツールでは以下のような検索機能が搭載されています。

  • キーワード検索:発言者、日付、チャンネルなどで絞り込み

  • ピン留め/ブックマーク機能:重要情報にすぐアクセス

  • 引用/スレッドリンク:会話の文脈を再確認可能

たとえば「2か月前のクライアント要望」「見積もりの修正指示」「過去のFAQ」なども、数秒で再確認できます。

メールでありがちな、

  • 誰に送ったかわからない

  • 添付ファイルがどこにあるか不明

  • スレッドが途中で分岐して読みにくい

といった事態が激減するのです。情報の“検索性”こそ、現代の業務効率に直結する要素と言えるでしょう。

リアクションやスタンプで「読んだ・理解した」が伝わる

メールでは「了解しました」「見ました」といった返事が必要ですが、チャットではスタンプやリアクションがそれを代替します。

たとえば:

  • 👍:了解

  • 👀:確認中

  • ✅:完了

  • ❓:質問あり

これにより、「わざわざ返信しなくても、相手に伝わる」環境が整います。特に複数人のグループでは、

  • 「誰が内容を理解したか」

  • 「誰がまだ読んでいないか」

といった状況も一目でわかり、指示の重複や連絡漏れを防げます。これは、非言語情報を業務に取り込む革新とも言えるでしょう。

Slack・Teamsとの違いとは?OSSビジネスチャットの可能性

ビジネスチャットといえば、SlackやMicrosoft Teamsを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、他にも有力な選択肢として「OSS(オープンソースソフトウェア)型ビジネスチャット」が存在します。中小企業がチャット導入を検討する際は、導入コスト・カスタマイズ性・セキュリティなどの観点で、自社に最適な選択を見極めることが重要です。

有料SaaS型とOSS型の違い:コストだけでなく運用面も比較

以下の表は、SlackやTeamsといったSaaS型と、MattermostのようなOSS型ビジネスチャットの違いをまとめたものです。

比較項目 SaaS型(Slack, Teamsなど) OSS型(Mattermostなど)
初期費用 低い(無料プランあり) サーバー構築費が必要
ランニングコスト 利用人数×月額課金 基本無料(保守費別)
機能制限 無料版は制限あり 自由にカスタマイズ可能
データ管理 クラウド上(外部) 自社サーバーで管理可能
セキュリティ・法令対応 提供元に依存 自社で制御可能

一方、OSS型は自由度が高く、企業独自のワークフローにフィットさせやすいのが特長です。初期構築に一定のIT知識が必要ですが、最近ではセットアップ支援やホスティングサービスも充実してきています。

セキュリティやデータ保持の観点で見た選定基準

情報漏洩や個人情報保護への意識が高まる中、チャットツールのデータ管理方法は導入可否の大きな判断材料となります。

  • SaaS型の場合:すべてのデータは外部クラウドに保存され、サービス提供会社のセキュリティポリシーに依存

  • OSS型の場合:サーバーを自社で管理することで、データの保存先やアクセス権限を細かく制御できる

特に以下の業種では、OSS型の導入メリットが大きくなります。

  • 医療・福祉:患者情報やカルテのやり取りが発生

  • 製造業:製品設計図や仕様情報など機密性が高い

  • 官公庁・教育機関:公的機関としてクラウド利用が制限される場合あり

このように、「社内完結型のチャット環境」を構築したい企業にはOSS型が非常に有力です。

国産企業の利用事例に学ぶ:OSSチャットの活用シーン

国産の中小企業でも、OSS型ビジネスチャットの導入事例は増えています。以下に代表的なユースケースを紹介します。

事例1:製造業(従業員80名)/自社サーバーでMattermost導入
→ 工場・営業・設計の3拠点に分かれた情報共有が課題。チャット導入により、工程変更や品質トラブルの即時共有が可能に。社内サーバー内での運用により、取引先からの信頼性も向上。

事例2:医療法人(診療所4カ所)/OSSでデータ管理を一元化
→ 患者情報や検査結果などを外部クラウドに出すことができず、OSS型を採用。VPNと合わせてセキュリティを強化しつつ、スタッフ間の連携がスムーズに。

このように、「OSS=エンジニア向け」というイメージを持たれがちですが、目的が明確であれば中小企業でも十分に導入・活用可能なのです。

OSSでもサポートが受けられる?運用支援の実態

OSSと聞くと、「無料だけどサポートがない」という不安を持つ方も多いでしょう。しかし、実際には多くの企業が導入支援・保守運用サービスを提供しています。

代表的な支援内容:

  • サーバー構築代行(オンプレ/クラウド)

  • アップデート・障害対応

  • カスタマイズ開発(連携API、通知など)

  • 利用マニュアル作成・社内研修

こうしたベンダーのサポートを受けることで、OSSでも“SaaS並みの安心感”で利用できる環境が整えられます。
導入時には「初期構築をベンダーに任せ、社内は運用だけに集中する」という分担スタイルもおすすめです。

導入後に定着させるための5つのポイント

ビジネスチャットは導入すれば終わりではありません。いかに業務の中に根付かせ、定着させられるかが最大の成功要因です。ここでは中小企業が失敗しやすいポイントを避けるための、実践的な定着施策を紹介します。

経営層の「使う姿勢」が文化を作る

導入初期によくある失敗が、「現場任せにしてしまうこと」です。経営者や部門長がチャットに消極的だと、社員も「これは一時的な取り組みだな」と感じてしまい、定着しません。

成功の鍵は、上層部が率先して使うこと。

  • 社長が全体チャンネルで業績報告

  • 部長が雑談チャンネルで従業員をねぎらう

  • 管理職が1on1の声がけをチャットで実施

こうした姿勢が「チャットを使うのが当たり前」という空気を作ります。
ツールの定着は、ツールそのものより“使う人の行動”にかかっているのです。

業務プロセスに組み込む:メール・電話からの切り替え方

チャット導入後、メール文化が根強く残ってしまうと、情報が分散し非効率になります。業務フローそのものをチャット前提に再構築する必要があります。

具体例:申請・報告系の切り替え例

従来の方法 チャット導入後
稟議書を印刷し、承認者に回覧 稟議チャンネルでPDF共有+コメント承認
会議後にメールで議事録送付 会議チャンネルで即座に共有+コメント受付
電話で予定確認・日程調整 日程調整Botや投票機能を活用

最初は「一部部署・プロジェクト」から始める

全社一斉導入は混乱を招く可能性があります。まずは一部部署やプロジェクト単位で導入し、成果を見える化してから横展開するのが効果的です。

例:

  • 営業部門からスタート:案件管理と報告をチャット化

  • 新製品開発プロジェクトで試験導入:開発・設計・営業の横連携を強化

このような小規模導入は、社内で「使えば便利になる」という実感を広げやすいのがメリットです。

社内マニュアルとテンプレートで初期の混乱を防ぐ

初期段階では「どこに書いたらいいのか」「誰宛に送るべきか」などで混乱が起きがちです。あらかじめルールブックや利用テンプレートを用意しておきましょう。

おすすめ内容例:

  • チャンネルの命名規則(例:#proj-案件名)

  • あいさつ・業務報告のフォーマット

  • スタンプの意味・ルール(例:👀=確認中、✅=対応済)

こうしたガイドラインがあれば、誰でも迷わずに使い始められ、混乱や誤解も少なくなります。

成功事例を共有し、成功体験を広げる

チャット導入後に出た業務効率化やコミュニケーション改善の成功事例は、必ず社内で共有しましょう。

  • 「確認ミスが減って受注率アップ」

  • 「質問対応の時間が週3時間減」

  • 「工場とのやり取りが1日早くなった」

といった成果を、朝礼やチャンネル内で紹介することで、「自分たちもやってみよう」という雰囲気が醸成されます。成功事例は、次の定着化を促す強力なモチベーションになります。

中小企業こそ活用したい!コストを抑えて成果を出すチャット選定術

中小企業では、「チャットにそこまで予算を割けない」「できるだけ無料で済ませたい」という声も多く聞かれます。ここでは、コストを抑えつつ、しっかり成果を出す選定・導入術をご紹介します。

無料で使えるチャットツールはどこまで活用できる?

多くのビジネスチャットには無料プランがあります。主なツールの比較を見てみましょう。

ツール名 無料版の主な制限 無料でできること
Slack 過去90日間の履歴のみ チャンネル作成、ファイル共有、スタンプなど
Teams(Microsoft) Microsoft365の一部制限あり オンライン会議、チームチャット、タスク共有
Mattermost(OSS) 制限なし(自社運用前提) フル機能利用可能、サーバー構築要

クラウド版とオンプレミス版:中小企業に最適なのはどっち?

選定時に迷うのが「クラウド型にするか、オンプレミスにするか」という点です。それぞれのメリットを比較してみましょう。

項目 クラウド型 オンプレミス型
導入のしやすさ ◎(即日開始) △(要構築)
初期費用 △(月額制) ○(サーバー費用)
セキュリティ管理 サービス提供者 自社で制御可能
カスタマイズ性 △(制限あり) ◎(自由度高)

導入コストを抑える「段階導入」のススメ

いきなり全社導入を目指すのではなく、段階的にスモールスタートすることで、予算・工数の負担を軽減できます。

導入ステップ例:

  1. 営業チームだけで無料版を試す

  2. 業務で困ったことが解消されるか検証

  3. 成果をもとに他部門にも展開

  4. 必要に応じて有料版・サーバー構築に移行

このような「フェーズ制導入」によって、無駄なライセンス料を抑えつつ、成果の実感を持って拡大できます。

チャット+業務システム連携でさらに効率アップ

チャットは「単独で使う」よりも、「業務システムと連携」させることで、さらに効果が高まります。

連携例:

  • チャット+タスク管理(Backlog、Trello)

  • チャット+ファイル共有(Dropbox、Google Drive)

  • チャット+業務報告(Pleasanterなどローコードツール)

たとえば、Mattermostにタスク進捗やKPIレポートが自動通知されるようにすれば、“チャットを見るだけで状況把握が完了”する状態を作れます。

まとめ:チャットは「ツール」から「業務基盤」へ

ビジネスチャットは、単なるメッセージアプリではありません。中小企業にとっては、**業務のスピード・精度・透明性を向上させる「業務基盤」**となり得る存在です。

本記事では、

  • メールに代わるコミュニケーションの必要性

  • チャットの具体的な活用方法と効果

  • SaaS型とOSS型の選定ポイント

  • 定着化のための実践施策

  • コストを抑えた導入・連携のアイデア

について具体的に解説しました。

「IT導入はハードルが高い」と感じていた中小企業の皆様も、まずは無料プランや一部部署での導入から試してみてください。
そして「メールではもう限界だ」と感じたその瞬間が、業務の未来を変える第一歩です。

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