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バックオフィスDXの実践ステップ:総務・経理・人事をつなぐデジタル化戦略

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はじめに:バックオフィスDXの必要性と現状課題

中小企業におけるデジタル化は、生産現場や営業活動などの「直接部門」を中心に進んできました。
しかし、その一方で「総務」「経理」「人事」といったバックオフィス業務は、依然として紙・Excel・ハンコ文化が根強く残っています。

このような環境では、承認業務の遅延、情報の重複入力、データの分断などが日常的に発生し、業務効率を大きく損なっています。
特に近年では、リモートワークや電子帳簿保存法への対応など、バックオフィス領域にも“デジタル化の波”が押し寄せています。

本記事では、「バックオフィスDX」を実現するための実践的なステップを詳しく解説します。
中小企業が抱える現実的な課題と、その解決策として有効なPleasanter・RPA・AI-OCRなどの具体ツール活用事例も交えて紹介します。

バックオフィスDXは単なる効率化ではなく、企業全体の成長を支える基盤づくりです。
「どこから手を付けるべきか」「どのように定着させるか」といった実務視点で、順を追って見ていきましょう。

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なぜバックオフィスDXが後回しにされるのか

バックオフィスは企業経営を支える重要な部門でありながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)の優先度が低いとされてきました。
その背景には、以下のような構造的・文化的な要因があります。

本章では、なぜバックオフィス業務のデジタル化が進みにくいのかを掘り下げ、改善の方向性を明確にします。

現場優先のIT投資構造

多くの中小企業では、IT投資の中心は「売上を直接生み出す部門」に向けられます。
たとえば、製造業では生産管理システム(MES)や販売管理、営業支援(SFA)などが優先され、バックオフィスは後回しになりがちです。

しかし、実際にはバックオフィスがデジタルで連携していないことこそが、経営効率のボトルネックになっています。

例:受注情報が経理に伝わるのが遅れ、請求書発行が月末に集中。
総務では入退社手続きが手作業で煩雑化。
こうした“見えないムダ”が企業の生産性を大きく下げているのです。

最近では「ノーコード・ローコードツール」や「クラウドERP」など、安価かつ短期間で導入できる選択肢も増えています。
バックオフィスDXは、もはや大企業だけのものではありません。
経営層が「バックオフィスはコストセンターではなく、価値創出の中枢」という認識を持つことが、第一歩となります。

属人化と紙文化の壁

バックオフィス業務では、長年勤めるベテラン社員の“頭の中にしかない”ノウハウが多く存在します。
この「属人化」は、業務のブラックボックス化を招き、担当者の退職や異動で業務が滞る大きなリスクとなります。

また、紙の書類やExcelベースの管理も依然として多く、情報共有の遅れやミスの温床となっています。

現状の課題 影響
紙・押印文化 承認作業が遅れ、リモート対応できない
Excel依存 バージョン管理が煩雑で、ミスが発生
属人化 代替人員が育たず、業務が停滞
手作業転記 二重入力・記入漏れが頻発

こうした課題を解決するためには、業務の標準化とデジタル化を同時に進めることが欠かせません。
具体的には、承認ワークフローのクラウド化、データ共有基盤の整備、RPAによる定型業務の自動化などが有効です。

システム導入コストとROIへの誤解

中小企業の経営層からはよく「DXはコストがかかりすぎる」という声が上がります。
確かに従来のERPシステムは高額で、導入に数百万円単位の初期費用が必要でした。

しかし、現在では「月額数千円から使えるクラウド型サービス」や「無料で始められるノーコードツール」が多数登場しています。

導入コストよりも重要なのは、どれだけ工数を削減できるかという“投資対効果(ROI)”の視点です。

例として、経理業務を手作業からRPAに切り替えた場合、
毎月10時間分の作業削減が実現すれば、年間で120時間=約15営業日分の効率化になります。
人件費換算では50万円以上の効果となり、導入費用を数か月で回収できるケースも珍しくありません。

DX投資は支出ではなく、中長期的なコスト削減と業務安定化への投資と捉えることが重要です。

デジタル人材不足の本質

中小企業のDXが進まない理由として「デジタル人材がいない」という声も多く聞かれます。
しかし、これは“専門エンジニアがいない”という表面的な問題ではなく、社内にデジタルを活かす文化が根付いていないことが本質です。

最近のノーコードツールやクラウド業務システムは、非エンジニアでも運用できる設計になっています。
つまり、必要なのは「操作スキル」よりも「改善マインド」と「継続的な活用」です。

外部パートナーの力を借りて初期設定を行い、社内で運用を回す体制を構築することで、デジタル人材不足の壁は乗り越えられます。

DXは“人を変えるプロジェクト”ではなく、“人が使いこなせる仕組みをつくるプロジェクト”です。

部門横断の業務フローを見える化する方法

バックオフィスDXを成功させるための第一歩は、「今の業務を正確に見える化すること」です。
どんなに優れたツールを導入しても、現状の業務プロセスが整理されていなければ、効果は限定的です。
ここでは、部門をまたぐ業務を“構造的に理解し、連携できる仕組み”を作るステップを紹介します。

プロセスマッピングで業務全体を整理する

まず行うべきは、業務の流れを「プロセスマップ(業務フロー図)」として可視化することです。
経理・人事・総務といった部門ごとにタスクを洗い出し、「誰が・いつ・何を・どの順で行うのか」を明確にします。

プロセスマッピングの基本ステップは以下のとおりです。

  1. 各部門で担当する業務の一覧を作成

  2. タスクを時系列に並べ、依存関係を明確にする

  3. 承認・引き渡し・データ連携のポイントを可視化

  4. 業務の重複・手戻り・非効率箇所を特定する

たとえば、経理では「請求書発行→承認→入金確認→仕訳登録」という流れを整理し、
人事では「入社申請→備品手配→給与反映」までを見える化することで、どこにボトルネックがあるかが明確になります。

可視化の目的は“責任追及”ではなく、“改善ポイントの特定”です。
業務を「人」から「仕組み」に落とし込む意識が重要です。

業務データの連携ポイントを特定する

バックオフィスの非効率は、多くがデータの分断によって発生します。
たとえば、経理と総務が別々のExcelを使い、同じ従業員情報を二重管理しているケースはよくあります。

そこで重要なのが、「どのデータを共有すべきか」「どこを分けて管理すべきか」を明確にすることです。

データ項目 部門 管理責任 共有範囲
社員基本情報 人事 人事部 総務・経理
勤怠データ 総務 総務部 経理(給与計算)
経費精算 経理 経理部 総務・上長承認者
契約書情報 総務 総務部 経理・法務

このように連携ポイントを明示化することで、システム連携やクラウド導入の設計図が描けます。
「全てを一元管理する」ことが目的ではなく、必要な範囲で連携を最適化するのがDXの考え方です。

現場ヒアリングとボトルネック抽出の進め方

DX推進で陥りがちなのが、現場の声を反映しない“机上の設計”です。
現場担当者へのヒアリングは、実態に即した改善策を見つける上で欠かせません。

ヒアリングの際は、以下の質問を意識して行うと効果的です。

  • 日々の業務で時間がかかっている作業は?

  • 「この作業、なくてもいいのでは?」と思う業務は?

  • 同じデータを複数回入力していませんか?

  • 他部署とのやり取りで困っていることは?

これらを基に、業務上の「ムダ・ムリ・ムラ」を整理します。
課題が明確になれば、ツール導入の優先順位も判断しやすくなります。

また、ヒアリング内容はExcelやPleasanterなどで一元管理し、後の分析やKPI設定にも活用します。

KPI設定でDX成果を“見える化”

バックオフィスDXは、導入後の成果が見えにくいという課題があります。
そのため、定量的な指標(KPI)を設定することが成功の鍵となります。

KPIの例を以下に挙げます。

指標 目的 改善効果の測定方法
書類承認までの平均時間 承認フロー効率化 平均処理時間を計測
月次決算までの所要日数 経理業務スピード 締め作業の短縮効果
勤怠修正件数 入力精度の向上 エラー件数の削減率
請求書発行漏れ件数 ミス削減 対象件数の推移管理

これらの指標を可視化することで、「どこが改善されたのか」を経営層に説明できる資料になります。
数字で成果を示すことが、DXの継続的な推進力になります。

PleasanterやRPAを活用した効率化事例

業務の見える化ができたら、次は実際にツールを活用して効率化を実現するフェーズです。
ここでは、特に中小企業でも導入しやすい「Pleasanter(プレザンター)」と「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」を中心に紹介します。

ノーコードツール「Pleasanter」で内製アプリ化

Pleasanterは、プログラミング不要で業務アプリを作成できる国産のノーコードツールです。
Excel感覚で使えるため、IT知識がなくても自社業務に合わせたアプリを簡単に作成できます。

導入事例:人事部門での申請業務の自動化

Before After
入社申請を紙で回覧し、承認まで3日かかる Pleasanter上で申請フォームを作成し、即日承認が可能に
情報転記を手作業で行っていた 入力データが自動でデータベース化・検索可能
承認履歴が紙ベースで追跡困難 承認履歴をクラウド上で一元管理

このように、“Excel+メール”業務をウェブアプリに置き換えるだけでも、業務スピードが劇的に向上します。
さらにAPI連携により、RPAやクラウドストレージと接続することで、データが自動的に流れる仕組みも構築可能です。

RPAによる定型業務の自動化

RPAは、人がパソコンで行う定型作業(コピー&ペースト、データ転記、帳票出力など)を自動で実行する仕組みです。
特に経理や総務では、日次・月次の繰り返し業務が多く、RPAの効果が出やすい分野です。

導入効果の一例:

  • 勤怠システムから給与計算ソフトへのデータ転記を自動化

  • 取引先別の請求書をPDF出力し、メール送付を自動化

  • 経費精算データの検証と仕訳登録を自動化

これにより、担当者の月30~40時間分の作業を削減できた事例もあります。
また、RPAは夜間や休日も稼働できるため、**「24時間働くデジタル社員」**としても機能します。

クラウドストレージとの連携で情報共有を最適化

バックオフィス業務では、契約書・請求書・申請書類などのファイル共有・保管が日常的に発生します。
しかし、ローカル環境や社内サーバーでの運用では「最新版がどれか分からない」「外出先で確認できない」といった課題が生じます。

こうした問題を解決するのが、クラウドストレージとの連携です。
代表的なサービスとしては「Google Drive」「OneDrive」「Box」などがあります。
PleasanterやRPAとも容易に連携でき、ファイルの自動整理・共有・アクセス制御が可能になります。

導入のメリット:

項目 内容
リアルタイム共有 社員全員が同じデータを参照できる
セキュリティ強化 権限設定により閲覧・編集を制御可能
自動バックアップ 災害・故障時も安全にデータ保管
外部連携 顧客・取引先とも安全にファイル共有

特にPleasanterとDriveを組み合わせると、アプリから直接ファイルを紐づけて管理できるため、
「申請書に添付」「領収書を確認」などの作業がスムーズになります。

ファイルが散乱しがちな中小企業にとって、クラウド連携は“見える化の仕上げ”とも言える工程です。

AI-OCRで紙書類のデジタル化を加速

バックオフィスDXの最大の壁の一つが「紙文化の残存」です。
請求書・領収書・契約書など、紙でしか存在しない書類が多く、データ入力に多大な工数がかかっています。

そこで注目されているのがAI-OCR(光学式文字認識)です。
AIが印字や手書き文字を高精度で読み取り、データ化してくれるため、紙書類を瞬時に電子化できます。

例:スキャナーで取り込んだ請求書をAI-OCRで読み取り、
自動でRPAが仕訳・転記・保存まで完了。

この一連の流れを自動化することで、「入力作業ゼロ」が現実になります。
また、電子帳簿保存法にも対応しやすくなるため、法令遵守の観点からもメリットは大きいです。

AI-OCR+RPA+クラウドストレージを組み合わせれば、
「紙が届いた瞬間にクラウドに登録され、承認が完了している」という理想的なバックオフィス運用が可能になります。

定着させるための教育と運用ルール

DXの真の課題は、導入よりも「定着」です。
多くの企業で見られるのは、ツールを導入しても運用が続かず、結局Excelに戻ってしまうケース。
ここでは、DXを継続的に根付かせるためのポイントを解説します。

DX推進の“あるある失敗例”

以下のような失敗は、どの企業でも起こり得ます。

失敗パターン 原因
ツールが使われない 操作教育不足・目的が不明確
データが更新されない 担当者任せで責任所在が曖昧
初期設定のまま放置 改善PDCAが回っていない
過剰なツール導入 現場の実情に合っていない

これらを防ぐためには、**「使いやすい仕組みを作る」「小さく始めて習慣化する」**ことが大切です。
DXは一度導入して終わりではなく、日常業務の中で磨き上げていく活動です。

現場主導の運用体制を構築する

成功する企業の共通点は、「現場リーダーがDXの主導権を握っている」ことです。
経営層が方針を示し、現場が実務を推進する――この役割分担が重要です。

運用体制づくりのステップ:

  1. 各部門からDX推進担当(アンバサダー)を選出

  2. 月1回のDXミーティングで進捗・課題を共有

  3. 改善提案をその場で検討・反映

  4. 成果を全社にフィードバックし、モチベーション維持

このように現場が自発的に改善を進めることで、**「やらされ感のないDX」**が実現します。

ナレッジ共有で属人化を防ぐ

DXツールの運用が進むほど、新しいノウハウや操作方法が蓄積されます。
これを個人が抱えたままにせず、クラウド上にマニュアル化して共有することが重要です。

PleasanterやGoogleドライブ上に「DXナレッジベース」を設置し、
「トラブル対応Q&A」「操作動画」「設定履歴」などを登録しておくことで、
新入社員や異動者もスムーズに業務を引き継げます。

ナレッジ共有は、DXを“個人スキル”から“組織の資産”へと進化させる鍵です。

運用チェックリストで継続改善を支える

DXを定着させるには、定期的な棚卸しと改善サイクル(PDCA)が欠かせません。
毎月または四半期ごとに、以下のチェックリストで運用状況を見直します。

チェック項目 状態 コメント
ツール利用率 ☐良好 ☐要改善  
データの正確性 ☐良好 ☐要改善  
現場からの改善提案数 ☐増加 ☐横ばい  
教育・研修の実施頻度 ☐毎月 ☐不定期  

こうした仕組みがあると、担当者の入れ替わりがあっても品質が維持されます。
「改善が止まらない体制」こそ、DX定着の最大の成果です。

バックオフィスDXを成功に導くステップロードマップ

最後に、バックオフィスDXを実現するための全体像をステップで整理します。
“どこから手を付けるべきか”を明確にすることで、無理のないDX推進が可能になります。

現状分析 → 業務見直し → システム選定 → 定着支援

DXプロジェクトの基本は「分析・設計・導入・運用」の4段階です。

  1. 現状分析:業務フロー・課題を洗い出す

  2. 業務見直し:重複や非効率を削除し、理想フローを設計

  3. システム選定:ツールを比較し、自社に最適なものを選ぶ

  4. 定着支援:教育・マニュアル整備・評価指標の設定

これを順番に進めることで、DXが“仕組みとして回る状態”をつくれます。

小さく始めて段階的に広げる“スモールDX”戦略

一気に全社導入するのではなく、1部署・1業務から始めるのが成功の秘訣です。
スモールスタートで課題を洗い出し、成功体験を積むことで、全社展開がスムーズに進みます。

「まずは経費精算だけPleasanterで管理する」
「RPAで請求書発行だけ自動化する」
――そんな“小さな一歩”が、確実な成果を生み出します。

経営層を巻き込むためのプレゼン資料作成術

経営層にDX導入を提案する際は、ROI(投資対効果)を明確に示す資料が有効です。

  • どの業務を、どのツールで、どれだけ効率化できるか

  • 削減できる工数・コストの見積り

  • 期待できるリスク低減効果(ミス・遅延・紙コスト)

これらを「ビフォー・アフター比較表」や「導入ロードマップ」で提示することで、説得力が高まります。
数字と事例で語ることが、経営層の理解と投資判断を後押しする鍵です。

外部パートナーの選び方と成功事例

DXは、すべてを社内で完結させる必要はありません。
ノーコード開発支援・業務コンサル・RPAベンダーなど、信頼できる外部パートナーとの協働が成功の近道です。

選定のポイントは以下の通りです。

  • 自社の業務理解に深いパートナーか

  • 定着支援まで伴走してくれるか

  • 導入後の運用・保守体制が明確か

成功事例として、PleasanterとRPAを組み合わせて全社承認フローを自動化した企業では、
処理スピードが約50%短縮され、年間で100時間以上の工数削減を実現しました。

まとめ:バックオフィスDXを“全社の成長エンジン”に

バックオフィスDXは、単なるコスト削減ではなく、企業の競争力を支える基盤づくりです。
属人化や紙文化から脱却し、データがつながる環境を整えることで、
組織全体のスピード・透明性・意思決定力が向上します。

「まずは小さく始める」「現場が主導する」「継続的に改善する」――この3つが成功の原則です。
PleasanterやRPA、AI-OCRなどのツールは、その実現を後押しする強力な味方になります。

バックオフィスから始めるDXこそ、中小企業の未来を支える最も確実な一歩です。
今こそ、貴社のバックオフィスにデジタルの力を。


「自社に最適なDXツールを知りたい」「導入相談をしたい」という方は、
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