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多要素認証(MFA)で実現するクラウドセキュリティ強化術

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はじめに:なぜ今「多要素認証(MFA)」が注目されるのか

近年、クラウドサービスの普及により、私たちの働き方は大きく変わりました。
Microsoft 365、Google Workspace、Salesforceなど、業務の中心はクラウド上に移りつつあります。
その一方で、企業の「認証情報(ID・パスワード)」を狙った攻撃も急増しています。特に中小企業では、「パスワードの使い回し」や「共有アカウントの管理不備」など、日常的な運用ミスがセキュリティリスクを拡大させています。

実際、IPA(情報処理推進機構)の報告によると、企業で発生した不正アクセスの約8割が「認証情報の流出・盗用」に起因しています。
クラウドサービスの利便性を維持しながら安全性を高めるために、今注目されているのが**「多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)」**です。

MFAは、従来の「ID+パスワード」に加え、スマートフォンや指紋など複数の認証要素を組み合わせる仕組み。たとえパスワードが漏洩しても、第三者が不正にログインすることを防げます。

本記事では、中小企業でも無理なく導入できるMFAの仕組みと活用法、導入ステップ、そして実際の成功事例までをわかりやすく解説します。

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多要素認証(MFA)とは?仕組みと種類を解説

クラウド時代におけるセキュリティ対策の「第一歩」として位置づけられるのがMFAです。
ここでは、基本的な考え方と、実際に使われる認証方法の違いを整理します。

MFAの基本概念と「三要素認証」

MFAとは、「複数の異なる認証要素を組み合わせて本人確認を行う仕組み」です。
認証要素は大きく以下の3種類に分類されます。

認証要素 内容
知識要素 ユーザーが知っている情報 パスワード、PINコード
所持要素 ユーザーが持っているもの スマートフォン、セキュリティトークン
生体要素 ユーザー自身の特性 指紋認証、顔認証、虹彩認証

例えば、「ID+パスワード」に加えて「スマホアプリでの承認」や「指紋認証」を組み合わせることで、不正アクセスをほぼ防止できます。

従来の「単一要素認証」では、パスワードが漏れると誰でもアクセス可能でしたが、MFAでは第三者が物理的にスマホや生体情報を入手しない限り突破できないため、セキュリティの強度が大幅に向上します。

ワンタイムパスワード・SMS・アプリ認証の違い

MFAでよく使われる認証方式には、主に以下の3種類があります。

認証方式 特徴 メリット デメリット
ワンタイムパスワード(OTP) メールや専用デバイスで発行される一時コードを使用 専用機器なしでも導入可 コード入力の手間がある
SMS認証 携帯電話番号宛にコードを送信 導入が簡単でコストが低い SMS傍受のリスクがある
アプリ認証(Microsoft Authenticatorなど) 専用アプリで認証通知を承認 高セキュリティで利便性が高い スマホ依存が前提

中小企業が初めて導入する場合は、アプリ認証が最もバランスの取れた選択肢です。無料で利用できるツールも多く、管理者がアクセス履歴を可視化できる機能も備えています。

クラウドサービスにおけるMFAの役割

クラウドサービスでは、外部ネットワークからのアクセスが前提となるため、「社内ネットワーク=安全」という考えは通用しません。
そこで重要なのが「ゼロトラスト(信頼しない前提で検証する)」の考え方であり、その中核にあるのがMFAです。

たとえばMicrosoft 365では、MFAを有効にするだけで不正ログインの99.9%を防げると公式が発表しています。
また、Google WorkspaceやAWSなどでも標準機能としてMFAを提供しており、有効化するだけでリスクを劇的に減らせるのです。

パスワード依存から脱却するためのMFA活用法

MFAは単なるセキュリティ対策にとどまりません。
「パスワード管理の負担」や「従業員のストレス」を軽減する効果もあります。ここでは、パスワード依存の問題点と、新しい認証トレンドを紹介します。

パスワード管理の限界と人為的ミスのリスク

中小企業の現場では、次のような課題がよく見られます。

  • 同じパスワードを複数のサービスで使い回している

  • 退職者アカウントを放置している

  • メモやExcelでパスワードを管理している

これらは便利な反面、漏洩時に全システムへ連鎖的な被害が及ぶリスクを伴います。
実際、フィッシングメールやマルウェアにより、認証情報を抜き取られるケースが後を絶ちません。

MFAを導入すれば、仮にパスワードが流出しても、スマホ認証や指紋確認など追加の壁が不正ログインを阻止します。
「人の注意力」に頼る運用から、「仕組みで守るセキュリティ」へ転換することが重要です。

パスワードレス認証への流れ

MicrosoftやGoogleをはじめ、世界の大手企業は「パスワードを廃止する」方向に舵を切っています。
代表的なのが「FIDO2」「Windows Hello」「Passkey」などのパスワードレス認証です。

パスワードレス認証では、デバイス内の生体情報や暗号鍵を使い、ユーザー本人であることを直接確認します。これにより、次のようなメリットが得られます。

  • パスワード流出リスクがゼロに近い

  • ユーザーのログイン体験がスムーズ

  • 管理者の負担(パスワードリセット対応など)が軽減

つまり、MFAは「パスワードレス時代」への中間ステップとして位置づけられるのです。今のうちにMFA運用を定着させておけば、次世代の認証技術への移行もスムーズに進められます。

MFA導入による従業員負担の軽減策

「MFAは便利そうだが、社員が面倒がるのでは?」という懸念もよく聞かれます。
しかし、導入設計次第で負担を最小限にできます。例えば以下の工夫が有効です。

  1. 信頼済みデバイス設定:特定の端末では再認証を省略

  2. 時間制限付き認証:一定期間ログイン済みを維持

  3. プッシュ通知認証:数字入力なしでスマホの「承認」ボタンをタップ

これらを組み合わせることで、セキュリティと利便性を両立できます。
特に「Microsoft Authenticator」や「Google Prompt」などは、ワンタップ承認で簡単に操作でき、現場の抵抗を減らせます。

中小企業におけるMFA導入の進め方と定着化

ここからは、実際に中小企業がMFAを導入・運用していく手順を解説します。
計画から教育までのプロセスを体系的に理解することで、スムーズに定着化できます。

導入ステップ:計画からテスト運用まで

MFA導入は以下の流れで進めるのが効果的です。

ステップ 内容 ポイント
1. 現状分析 使用中のシステムやクラウドを洗い出す MFA対応の可否を確認
2. 方針決定 対象範囲・運用ルールを決定 全社員対象 or 管理者限定など
3. ツール選定 認証方式・コスト・管理性を比較 無料ツールから検討可能
4. テスト導入 部署単位で試験運用 操作性・トラブル対応を検証
5. 全社展開 成果を確認しつつ本格導入 サポート体制の整備

重要なのは、段階的な導入と教育です。最初から全社員一斉に実施すると混乱が生じやすいため、ITリテラシーの高い部署から順次展開しましょう。

導入時によくある課題と解決策

中小企業の現場でよく聞かれる課題と、その対処法を整理します。

課題 解決策
「社員がスマホを持っていない」 共有デバイス・メールOTPで代替可能
「操作が難しい」 マニュアルや動画を用意して説明
「トラブル対応が不安」 管理者向けのバックアップ認証設定を活用
「コストが心配」 無料プラン(Microsoft/Google)から開始

これらの課題は、最初の設計段階でルールを整備すれば回避可能です。特に「スマホを持たない社員」には、メール認証や物理トークンを組み合わせるとスムーズです。

社員教育と運用ルールの定着化

MFAを導入しても、「形だけ」で終わっては意味がありません。
定着化には、教育・ルール・改善サイクルが欠かせません。

  1. 定期的な教育:社内研修やeラーニングでMFAの重要性を再確認

  2. 明確なルール化:「誰が・どの端末で・どの頻度で」認証するかを明示

  3. ログ監視・改善:不正アクセスや異常な試行をチェック

これにより、社員が「自分たちの業務を守る仕組み」としてMFAを理解し、継続的な運用が可能になります。

MFA導入で実現するセキュリティ強化事例

実際にMFAを導入して成果を上げた中小企業の事例を紹介します。

中小製造業A社:VPN+MFAでリモートアクセスを安全化

A社では、コロナ禍に伴いVPNを利用した在宅勤務を導入しましたが、不正アクセスが多発していました。
そこで、VPNログイン時にMFAを追加設定したところ、外部からの侵入試行がゼロに
従業員からも「安心して在宅勤務ができる」との声が上がりました。

医療機関B社:患者情報システムへの不正アクセス防止

B社では電子カルテをクラウド管理していましたが、アカウント共有によるログイン管理の甘さが課題でした。
MFAを導入することで、誰が・いつ・どこからアクセスしたかを可視化
個人情報保護法改正への対応にもつながり、監査体制の信頼性が高まりました。

ITサービス企業C社:MFAとゼロトラストの併用で全社防御力アップ

クラウドを多用していたC社は、ゼロトラスト戦略の一環としてMFAを導入。
クラウド・社内ネットワーク・SaaSの全てでMFAを必須化した結果、外部委託先との安全なデータ連携が実現しました。
MFAは単なる認証強化にとどまらず、企業全体のセキュリティ文化を底上げする役割を果たしています。

まとめ:MFAは「最初の一歩」であり、継続的なセキュリティ対策の要

MFAは、中小企業でも手軽に導入できる「最も効果的なセキュリティ強化策」です。
ID・パスワードだけに依存しない体制を作ることで、不正アクセスや情報漏えいを未然に防げます。

本記事で紹介したように、MFAの導入は難しくありません。
無料ツールから試すことも可能で、スマートフォン1台あればすぐに始められます。
重要なのは「継続的な教育」と「仕組み化」。MFAを導入して終わりではなく、改善を続けることが真のセキュリティ強化につながります。

御社のクラウド利用をより安全にするために、まずはMFA導入を検討してみてください。
国際ソフトウェアでは、クラウド環境の構築からMFA運用支援まで一貫対応しています。
「どの方法が最適か分からない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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