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DX支援事業者の分類と必要な人材、ステップ別の支援業者・必要な人材、DX推進時のポイント

中小企業にとってDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、もはや選択肢ではなく、競争力を維持するための必要条件となりつつあります。
しかし、「どのようにDXを始めたら良いのか」「誰に相談すべきかわからない」と感じる営業部門の担当者も少なくありません。
そこで注目されているのが「DX支援事業者」の存在です。
これらの事業者は、企業のDX推進フェーズに応じて、技術・戦略・人材などの側面から多角的に支援を行っていますが、実際にはその分類や特性が分かりづらく、適切な選定が難しいのが現状です。
この記事では、DX支援事業者の分類をわかりやすく整理し、ステップ別の支援内容や必要な人材、事業者選定時のポイントについて解説します。
DX支援事業者の分類とそれぞれの特徴
DXを効果的に推進するには、自社のフェーズや課題に応じた「支援事業者」の選定が非常に重要です。
ここでは、中小企業のDX推進に関わる支援事業者を主に4つのタイプに分類し、それぞれの特徴と提供する支援内容について解説します。
ITツール導入支援系
このタイプの事業者は、業務効率化や可視化を目的に、SaaS(クラウドサービス)やRPA、業務アプリなどのITツールを導入・活用する支援を行います。
営業部門であれば、顧客管理(CRM)や営業支援(SFA)ツールの導入などが代表例です。
導入支援のほかにも、初期設定・運用レクチャー・社内展開まで対応している事業者であれば、現場への定着までを安心して任せることができます。
ビジネス変革コンサルティング系
DXを単なるデジタル化にとどめず、ビジネスモデルや業務プロセスの変革を伴うかたちで推進したい場合に選ばれるのが、このコンサルティング系事業者です。
業界知見を活かした課題分析から、中長期のDX戦略の立案、KPI設定、マネジメント体制の構築までを支援することが多く、「何から始めれば良いのかわからない」という企業には特に有効です。
システム開発・運用支援系
自社専用の業務システムやWebサービスを開発・運用したいと考える企業には、システム開発支援を提供するITベンダーやSIer(システムインテグレーター)が該当します。
業務要件に合わせたシステム設計、開発、テスト、導入、保守運用までを一括で請け負うケースが多く、ITリテラシーの高くない企業にとっても、比較的導入しやすいのが特長です。
ただし、事前に明確な要件を整理しておくことが成功の鍵となります。
人材育成・リスキリング支援系
DXを「外部委託」で終わらせず、将来的に「内製化」するために欠かせないのが、人材育成・リスキリングを支援する事業者です。
デジタルツールの活用研修や、DX推進リーダー育成、アジャイル開発の基礎など、多様な研修カリキュラムを提供しており、特に社内にIT人材が不足している企業にとっては、継続的なスキル強化に直結する重要な支援領域です。
DXのステップ別に見る支援事業者と必要な人材
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、一足飛びに進められるものではありません。
多くの中小企業では、段階的にデジタル化を進めていくことが現実的であり、その段階ごとに適切な支援事業者や人材の配置が求められます。
ここでは、DX推進を3つのステップに分けて、それぞれのフェーズで必要となる支援と人材の特性を解説します。
ステップ1:デジタイゼーション(紙業務の電子化)
この初期段階では、紙で運用されていた業務フローをデジタルデータに置き換える作業が中心です。
営業部門であれば、見積書や契約書の電子化、顧客情報のデータベース化が該当します。
必要な支援事業者
- ITツール導入支援会社(SaaS、文書管理システム、クラウドストレージ導入など)
- 中小企業向けデジタル化補助金に詳しい支援機関
必要な人材
- ITリテラシーのある現場担当者
- データ入力・整備に長けた事務スタッフ
この段階で重要なのは「現場の理解と協力」です。小さなデジタル化でも現場の業務を直接改善することで、DXに対する社内の肯定的な空気が生まれます。
ステップ2:デジタライゼーション(業務効率化)
次に進むのが、業務全体のフローを見直し、デジタル技術を活用して効率化を図るフェーズです。
たとえば、営業プロセスの中で、商談進捗や受注率を可視化するSFA(営業支援システム)の導入などが該当します。
必要な支援事業者
- 業務プロセス改善に強いITコンサル会社
- ツール導入から定着まで伴走する導入支援企業
必要な人材
- デジタルツールを活用する現場リーダー
- 効率化・改善マインドを持った部門責任者
- 社内調整を行うプロジェクト推進担当
この段階では、現場と経営の「橋渡し役」となる人材の存在が鍵です。
現状を正しく把握し、改善のためのアクションを継続的に実行するマインドセットが求められます。
ステップ3:DX(ビジネスモデル変革)
最終段階では、業務効率化を超えて、企業のビジネスモデル自体に変革をもたらすことが目的となります。
たとえば、従来の対面営業中心のビジネスから、オンライン完結型の営業モデルへの移行などがこれに当たります。
必要な支援事業者
- DX戦略の策定から支援するコンサルティングファーム
- 新規事業やサービス開発をサポートするベンチャー系事業者
- エンジニア・デザイナー・PMを提供する開発支援会社
必要な人材
- DX推進リーダー(CDOやデジタル担当役員)
- データ分析・マーケティングに強い人材
- アジャイル開発を理解する社内PM(プロジェクトマネージャー)
このフェーズでは、「外部に任せきり」ではなく、自社にノウハウを残す意識が重要です。
特に中小企業では、一度整えた体制を継続的に改善・運用できるよう、内製化や人材育成の仕組みも並行して考えていく必要があります。
DX推進時に注意すべきポイント
DX支援事業者を活用することは、社内にノウハウが乏しい中小企業にとって大きな助けとなります。
しかし、支援を受ける際にはいくつかの重要な注意点があります。
ここでは、事業者選定と体制づくりにおいて押さえるべきポイントを3つに整理してご紹介します。
自社の課題フェーズに合った事業者を選ぶ
DX支援事業者と一口に言っても、得意分野や対応フェーズはさまざまです。
たとえば、紙業務の電子化が未着手であれば、ITツール導入支援系の業者が適していますが、すでに業務のデジタル化が進んでいる企業では、ビジネス変革型のコンサルタントやシステム開発支援業者の方が効果を発揮します。
そのためにはまず、社内で現在のDXの進捗状況を客観的に棚卸しし、「今、何を課題としているのか」「どの領域を優先すべきか」を明確にすることが不可欠です。
「丸投げ」にならない体制構築
支援事業者にすべてを任せきりにしてしまう、いわゆる「丸投げ」状態は、最も避けるべき落とし穴です。
ツールを導入しただけで満足し、その後の活用や社内展開が進まないケースは少なくありません。
社内にDX推進の窓口となる担当者やチームを設け、外部支援と内部推進の連携を図ることで、DXの成果を最大化できます。
たとえば、営業部門であればSFA導入後の活用状況を定期的にレビューするなど、実装と運用のギャップを早期に発見し対処する体制づくりが重要です。
長期的な内製化・人材育成を視野に入れる
DXは一度導入して終わりではなく、継続的な改善と拡張が求められる活動です。
そのため、長期的には「内製化」=自社での運用・改善体制の構築を視野に入れることが重要です。
具体的には、外部支援を受けながら社内人材のリスキリング(再教育)を進める、プロジェクトマネジメントの経験を社内に蓄積するなどが挙げられます。
DXは企業文化そのものを変えていく取り組みでもあり、外部に依存しすぎると本質的な変革にはつながりません。
なお、KSW社のように戦略立案から実行、内製化支援までを包括的に提供している支援事業者(サービス詳細はこちら)を活用することで、DXの継続性と自立性を両立することが可能です。
まとめ
DX支援事業者は、導入ツールの選定から業務プロセスの改革、人材育成まで、さまざまな側面で中小企業のDXをサポートしてくれる心強い存在です。
しかし、その支援領域や強みは事業者によって大きく異なるため、自社の現状や課題を踏まえたうえで、適切なパートナーを選ぶことが成功の鍵を握ります。
また、DXは単なるIT導入にとどまらず、業務のあり方や企業文化そのものを変革する取り組みでもあります。
したがって、外部支援に頼りきるのではなく、自社内でも目的を明確にし、継続的な運用と人材育成を見据えた体制づくりが不可欠です。
「何から始めれば良いかわからない」と悩む企業は、まずは信頼できる支援事業者に相談し、自社にとって最適なDXの進め方を一緒に考えるところから始めましょう。
たとえば、国際ソフトウェアのDX支援サービスでは、企業の状況に合わせて戦略立案からツール導入、運用支援、内製化支援までを一貫して提供しており、中小企業でも安心してDXに着手することができます。
今後の企業成長と競争力維持のために、最適なパートナーとともに、DXを着実に進めていきましょう。