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クラウド障害・停電対策のススメ|中小企業のためのBCP・DR設計ガイド

はじめに:クラウド障害・停電対策とは何か?
クラウドサービスは、今や中小企業にとっても欠かせないインフラです。業務アプリケーション、ファイル共有、メールやチャットなど、多くの業務がクラウド上で完結するようになりました。導入コストを抑え、柔軟に拡張できるクラウドの利便性は非常に高く、「オンプレミスよりも安全・安心」と信じる企業も少なくありません。
しかし、クラウドは「万能」ではありません。実際に、AWSやAzure、Google Cloudなどの大手クラウドでも障害が発生し、数時間にわたり多くの企業の業務が停止するという事例が過去に複数あります。また、クラウドはインターネット接続が前提のため、停電や通信障害の影響を受けやすいのも事実です。
中小企業にとって、こうしたクラウド障害や停電は「一時的な不便」で済まないことがあります。受発注業務が止まる、顧客対応ができない、社内連携が乱れる…その影響は売上損失や信用失墜に直結します。にもかかわらず、多くの企業では十分な備えがなされていないのが現状です。
本記事では、クラウド障害や停電に備えるための「BCP(事業継続計画)」と「DR(災害復旧)」について、中小企業でも実践できる形でわかりやすく解説していきます。万が一の事態に備え、事業を止めない体制を整えるための第一歩を一緒に踏み出しましょう。
クラウド依存のリスクとBCPの必要性
クラウドは非常に便利な反面、「クラウドに頼りすぎること」そのものがリスクになることがあります。本章では、クラウド依存のリスクと、それをカバーするBCP(事業継続計画)の重要性について解説します。
クラウドサービスが停止したらどうなるのか?
近年、大手クラウドサービスで発生した障害は決して珍しくありません。以下は、代表的なクラウド障害の事例です。
発生日 | サービス | 障害内容 | 影響範囲 |
---|---|---|---|
2021年12月 | AWS(東京リージョン) | ネットワーク障害 | ECサイト、決済、物流管理など |
2022年3月 | Microsoft Azure | ストレージアクセス障害 | SharePoint、Teams、Dynamics365など |
2023年1月 | Google Cloud | 負荷分散エラー | Webアプリ、APIサービス停止 |
例えば、次のような状況が現実に起こります。
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「受注データが見られず、出荷作業が止まった」
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「営業が商談で必要な見積書を開けず、商談が白紙に」
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「サポートチームが過去の問い合わせ履歴にアクセスできず、対応が遅延」
このようなトラブルが発生すると、顧客からの信頼低下や売上減少といった大きな損失につながります。「クラウドは止まらない」という思い込みは捨て、障害が起きる前提で備える必要があります。
BCP(事業継続計画)がなぜ重要か
BCP(Business Continuity Plan)とは、「災害やトラブルが発生しても事業を止めない、または最小限の影響で早期に再開するための計画」です。
多くの中小企業では、「うちみたいな規模では大規模な備えは無理」と感じているかもしれません。しかし、BCPの本質は“災害後に何を最優先に守るか”を決めておくことにあります。
BCPの策定がない企業では、次のような課題が起きやすくなります。
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誰が何を優先して動くか決まっておらず、初動が遅れる
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バックアップの取得・復元方法が不明確で、データが戻らない
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社内連絡手段が断たれ、指示系統が混乱する
一方で、あらかじめBCPを策定しておくと…
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復旧の優先順位が明確になる
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業務継続のための代替手段が用意されている
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関係者の連携がスムーズになり、損失を最小限に抑えられる
中小企業にとっても、BCPは「大企業だけの話」ではありません。むしろリソースが限られているからこそ、被害を最小限にする準備が必要です。
オンプレとクラウド、どちらが安全?
クラウドへの移行が進む一方で、いまだオンプレミス(自社サーバー)を使い続ける中小企業も少なくありません。そこで気になるのが「オンプレとクラウド、どちらが障害に強いのか?」という問いです。
実際には、それぞれにメリットとリスクが存在します。以下に整理してみましょう。
比較項目 | オンプレミス | クラウド |
---|---|---|
障害対応の柔軟性 | 自社で即時対応可(人員・体制次第) | ベンダー任せのため復旧時間が読めない |
災害時の安全性 | 拠点が被災するとデータも喪失 | 地理的に分散したデータセンターで高い耐障害性 |
運用コスト | 初期費用が高く、維持管理が必要 | 利用量に応じた月額課金で柔軟に調整可能 |
セキュリティ管理 | 社内に管理ノウハウが必要 | クラウドベンダーが最新の対策を実施 |
中小企業にとって最も重要なのは、「自社に合ったバランスの取れた選択肢」を選ぶことです。たとえば、以下のようなハイブリッド戦略も現実的です。
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社内ファイルサーバー+クラウドストレージの併用
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メール・チャットはクラウド、基幹業務はオンプレのまま
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クラウド環境の定期バックアップを社内NASに保存
「どちらか一方」ではなく、「適材適所で使い分けること」が安全性とコストの両立につながります。
中小企業にとっての「適正な備え」とは
「BCPやDRをしっかりやろう」と思っても、「すべてを守るにはコストがかかりすぎる」「うちの規模では難しい」と感じる中小企業は多いでしょう。
しかし、BCP対策において重要なのは、“100点を目指す”ことではなく、“現実的な70点を確実に実行する”ことです。限られたリソースでも、優先順位を明確にすれば効果的な対策は可能です。
以下は、よくある中小企業向けの「段階的な備え」の考え方です。
フェーズ | 対策例 | コスト感 |
---|---|---|
ステップ1(必須) | 毎日のクラウドデータバックアップ、停電時のUPS(無停電電源装置)導入 | 数万円~ |
ステップ2(推奨) | DRマニュアルの作成、クラウドサービス障害時の代替手順策定 | 社内整備ベース |
ステップ3(中長期) | マルチクラウド構成やマルチリージョン設計 | 数十万~規模に応じて調整 |
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売上に影響しない業務は停止を許容する
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復旧まで2日以内であれば問題ない業務は簡易バックアップで対応する
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システムダウン時の「紙対応マニュアル」を用意しておく
“全部守る”ではなく、“何を守るか、何を止めるか”を判断する視点が、中小企業にとっての適正なBCPになります。
DR(災害復旧)設計の考え方と具体的手法
クラウド障害や自然災害によって業務が停止したとき、いかに早く復旧し、損失を最小限に抑えるか。その鍵を握るのが「DR(ディザスタリカバリ)」です。この章では、DRの基本概念から設計方法、中小企業でも導入できる実践的な方法まで、順を追って解説していきます。
DR(ディザスタリカバリ)とは何か?
「DR(Disaster Recovery)」とは、自然災害、システム障害、人為的ミスなどによって業務が停止した際に、データやシステムを速やかに復旧させる仕組みや体制のことです。
BCP(事業継続計画)と混同されがちですが、両者には次のような違いがあります。
比較項目 | BCP(事業継続計画) | DR(災害復旧) |
---|---|---|
目的 | 業務の継続・早期再開 | システム・データの復旧 |
範囲 | 業務全体(人・物・情報) | ITインフラ・データ中心 |
例 | 代替オフィス、緊急連絡網 | バックアップ、フェイルオーバー |
優先度 | 経営戦略・全体戦略 | 技術的対応策 |
たとえば、クラウドが停止したときに備えて「バックアップから数時間で復旧できる環境」を用意することは、DRにあたります。中小企業でも、“シンプルかつ現実的なDR”からスタートすることが重要です。
RTOとRPOを理解しよう
DRを設計するうえで、まず押さえておきたいのが「RTO」と「RPO」という2つの重要な概念です。
-
RTO(Recovery Time Objective)=復旧時間目標
→「業務停止から何時間以内に復旧するか」という時間の目安。 -
RPO(Recovery Point Objective)=復旧時点目標
→「どの時点までのデータを戻せれば許容範囲か」というデータ損失の許容度。
以下に、簡単な例を示します。
業務システム | RTO(復旧時間目標) | RPO(復旧時点目標) |
---|---|---|
顧客管理システム(CRM) | 6時間以内 | 前日夜のバックアップ |
会計システム | 翌営業日まで | 当日午前中まで |
社内チャット | 即時でなくても可 | 最新状態でなくてよい |
このように、RTOとRPOを業務ごとに設定することで、「どこまで備えるべきか」の優先順位が明確になります。
ポイントは、「すべてのシステムを即時復旧する必要はない」ということ。中小企業では特に、“重要業務だけを短時間で復旧できる仕組み”を設計するのが現実的です。
DR設計の基本ステップ
DRをゼロから設計するのは難しく感じるかもしれませんが、実際には次のようなステップで段階的に進めることができます。
【DR設計の5ステップ】
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業務とシステムの棚卸し
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どの業務がどのIT資産に依存しているかを洗い出します。
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使用中のクラウド、アプリ、ローカルデータの把握が第一歩です。
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重要度の分類とRTO/RPOの設定
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先ほど紹介したRTO・RPOを各業務に設定し、復旧の優先順位を明確にします。
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バックアップ体制の設計
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自動化、世代管理、遠隔地保存を意識して、バックアップ方式を選定します。
-
クラウド+外部媒体(NASなど)の併用も有効です。
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リカバリ手順の文書化と共有
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いざというときに誰でも対応できるよう、復旧手順をマニュアル化し、定期的な訓練を行いましょう。
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定期的なテストと改善
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「バックアップは取れているが、戻せなかった」という例も多いため、実際に復元する訓練を半年に1度は実施することが重要です。
-
DRは一度作って終わりではありません。事業やシステムが変化すれば、DRも見直しが必要になります。定期的な点検が、確実な復旧を支える鍵です。
コストと効果を両立させるDR対策
「DRの必要性は理解したけど、コストが心配…」という声は中小企業では非常に多く聞かれます。確かに、すべてを冗長化・自動化すればコストは膨大になります。
そこで重要なのが、「投資対効果(ROI)」を意識した設計です。以下は、比較的導入しやすく、効果の高い施策です。
対策内容 | コスト感 | 効果 |
---|---|---|
クラウドストレージの世代管理 | 月数千円 | 過去データも復元可能 |
物理バックアップ(NAS+UPS) | 数万円 | ネット障害時にもデータ復旧可 |
DRマニュアル作成・共有 | 自社対応可能 | 属人化の回避・初動の迅速化 |
クラウド自動バックアップ設定 | クラウド費用に含まれることが多い | 復旧スピード向上 |
たとえば、以下のような構成です:
-
毎日夜間に自動バックアップ
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電源トラブルに備えてUPSを設置
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重要業務だけはクラウドの他リージョンに二重化
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復旧手順をPDFで常時保存
“コストをかけずに守る工夫”が、中小企業のDR設計では最も重要です。
マルチリージョン/バックアップ戦略
BCPやDRの一環として、クラウド環境でのデータ保全はますます重要になっています。特に、マルチリージョンの活用や適切なバックアップ戦略は、中小企業でも取り入れやすく、障害対策として非常に効果的です。この章では、クラウドにまつわる「安全神話」への注意喚起から、実用的なバックアップ戦略までを解説します。
「クラウド=安全」と思っていませんか?
多くの中小企業がクラウド導入を進める中で、つい信じてしまいがちなのが、「クラウドに入れておけば安全」という“クラウド神話”です。しかし、クラウドにも障害や人的ミスは存在し、「預けているだけ」ではデータは守れません。
実際、次のようなトラブルが発生しています。
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誤操作によるデータ削除(例:従業員がGoogleドライブ上の共有フォルダを完全削除)
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アカウントの乗っ取りや不正アクセス(パスワードの使い回しによる被害)
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クラウドサービス提供元の障害(Azureのリージョン障害により、一時的にデータアクセス不能)
これらは、ユーザー側の操作ミスや契約範囲外の障害により、クラウド事業者が責任を取らないケースも少なくありません。
そのため、クラウドを利用する企業は以下のような意識改革が必要です。
-
クラウドはあくまで「インフラ」であり、責任分界点がある
-
障害・削除に備えた自社側のバックアップが必須
-
「何を、どこに、どのくらい」保管しているかの把握
「クラウドに預けておけば安心」という思い込みが、最大のリスクになります。
マルチリージョン構成とは?
マルチリージョンとは、クラウドサービスを提供する複数の地理的なデータセンター(リージョン)を使い分ける仕組みです。
例えば、Microsoft Azureでは「東日本リージョン」「西日本リージョン」などがあり、Google CloudやAWSでも同様に国内外の複数リージョンが提供されています。
【マルチリージョン活用の目的】
-
自然災害(地震・台風など)への備え
-
リージョン障害時の自動切り替え(フェイルオーバー)
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地域ごとの法規制・ガバナンス対応
中小企業が導入する場合には、以下のような構成がおすすめです。
項目 | シングルリージョン | マルチリージョン |
---|---|---|
費用 | 安い | やや高い |
復旧性 | 障害発生時に復旧待ち | 他リージョンで切り替え可能 |
安全性 | 一極集中 | 分散して高可用性 |
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Microsoft Azureの「Geo冗長ストレージ(GRS)」を利用することで、自動的に別リージョンへバックアップ
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AWSで「S3クロスリージョンレプリケーション」を設定し、東京リージョンから大阪リージョンへコピー保存
「万が一の時のバックアップ先が遠くにある」ことが、事業継続の大きな支えになります。
自動バックアップとスナップショットの活用
手動でバックアップを取る時代は終わり、自動化されたバックアップとスナップショットの活用が主流になっています。特にクラウド環境では、この2つの仕組みを上手く使い分けることで、データ保全が飛躍的に向上します。
【自動バックアップとは?】
クラウドサービスやSaaSが提供する「定期バックアップ機能」を指します。例:
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Microsoft 365:SharePoint、OneDriveの定期バックアップ設定
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Google Workspace:Googleドライブの自動バックアップ設定
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AWS RDS:データベースのスナップショットを自動取得可能
【スナップショットとは?】
特定時点のデータ状態を瞬間的に保存する仕組み。高速復旧に向いており、定期取得でデータ保全が強化されます。
特徴 | 自動バックアップ | スナップショット |
---|---|---|
保存間隔 | 日次・週次など | 数分~数時間ごとも可能 |
容量負荷 | 高い(フル保存) | 少ない(差分保存) |
復旧速度 | やや遅い | 非常に速い |
想定用途 | 長期保存用 | 短期トラブル対応用 |
バックアップの保存先と保持期間の考え方
バックアップを取る際に見落とされがちなのが、「保存先」と「保持期間」の設計です。
【保存先の種類と特徴】
保存先 | メリット | デメリット |
---|---|---|
クラウドストレージ(OneDrive, Dropbox, S3等) | 遠隔地保管・災害に強い | アクセス権管理が必須 |
ローカルNAS(社内LAN上) | 高速アクセス・社内完結 | 火災・停電に弱い |
外付けHDD・USB | 導入コストが安い | 紛失・劣化のリスク |
オフラインメディア(DVD等) | オフラインの強み | 保守が手間・保存容量が少ない |
推奨されるのは「2重3重の保存先を使い分ける」ことです。
【保持期間の目安】
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毎日バックアップ → 1週間分(7世代)
-
週次バックアップ → 過去1か月分(4世代)
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月次バックアップ → 半年~1年保存(長期トラブル対策)
クラウドストレージでも、「削除済みデータの保持期間」や「バージョン履歴の上限」があるため注意が必要です。
設定例:
・OneDrive:削除ファイルは最大93日間保持(管理者設定による)
・Dropbox:Standardプランで30日、Advancedプランで180日
・AWS S3:ライフサイクルポリシーで世代管理が可能
「何を」「どこに」「どれだけの期間」保存するかを明確にし、トラブル時にすぐ対応できる体制を整えましょう。
実例:中小企業ができる障害対策のロードマップ
クラウドやBCP・DRの重要性は理解していても、「自社でどこから手をつければいいのか分からない」という中小企業は少なくありません。この章では、よくある失敗例から学び、今日からできるチェックリスト、そして現実的なロードマップと導入事例を紹介します。
よくある「失敗例」から学ぶ
障害や停電への備えが不十分だった企業では、想定外の被害が発生することがあります。以下に、実際の中小企業で起きたトラブル事例を紹介します。
【失敗事例1】クラウドに任せきりでバックアップなし
某製造業(従業員30名)では、Google Workspaceを使って日々の業務を行っていたが、誤って全社共有の設計図フォルダを削除。管理者もゴミ箱を空にしてしまい、数年分のデータが消失。バックアップは取っておらず、再作成に数か月を要した。
【失敗事例2】復旧手順が不明でパニックに
システム障害で社内基幹システムが停止したが、復旧担当が休暇中で代替手順も共有されていなかった。誰も復旧できず、2日間業務停止。顧客対応にも支障をきたし、信用失墜に。
【失敗事例3】UPS未導入でサーバー機器が故障
夏場の雷で瞬間的に電圧が落ち、社内NASが故障。UPS(無停電電源装置)を導入していなかったため、データはすべて消失。修理費用も高額に。
これらの失敗に共通するのは、「事前準備の欠如」です。安価な対策で防げたリスクも多く、早めの対策こそが最大のコスト削減になります。
社内でできる簡易チェックリスト
まずは「今、自社がどこまで備えられているか」を確認することが大切です。以下は、中小企業でもすぐに実施できるチェックリストです。
【クラウド障害・停電対策チェックシート】
項目 | チェック |
---|---|
主要業務のRTO(復旧時間目標)を設定している | □ |
クラウドデータの自動バックアップを設定している | □ |
重要データのコピーを社内/外部に保持している | □ |
UPS(無停電電源装置)を導入している | □ |
復旧手順がマニュアル化されている | □ |
DR訓練(バックアップ復元テスト)を行っている | □ |
従業員に障害時の初動マニュアルを配布している | □ |
段階的に進める対策ロードマップ
BCPやDRの整備は、一気に完璧を目指す必要はありません。以下のように、3ステップで段階的に進めることができます。
【中小企業向け障害対策ロードマップ】
フェーズ | 内容 | 主な施策例 |
---|---|---|
ステップ1(初期) | 最低限の備え | UPS導入/自動バックアップ/手順書作成 |
ステップ2(中期) | リスク分散 | バックアップ二重化/定期復旧テスト/代替手順整備 |
ステップ3(本格) | 高可用性の追求 | マルチリージョン構成/クラウドフェイルオーバー/全社訓練実施 |
-
UPSの導入(3万円前後)
-
クラウドストレージの自動バックアップ設定(無料~月額数千円)
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復旧手順をPDFで配布(自社対応)
といった対策だけでも、8割以上のトラブルに対する備えが可能です。
中小企業のクラウド導入・再設計事例
最後に、実際に障害対策に取り組んだ中小企業の事例をご紹介します。
【事例1】製造業(従業員50名)
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課題:オンプレサーバーの老朽化と停電によるトラブルが続発
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対策:Microsoft 365へ移行、OneDriveの自動バックアップを設定。UPSを導入し、重要データは毎晩NASに複製
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効果:復旧時間が大幅に短縮、障害時の混乱がほぼゼロに
【事例2】ITサービス業(従業員20名)
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課題:クラウド障害に備えたDR構成が未整備
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対策:AWS S3のクロスリージョンレプリケーションを導入し、東京→大阪間でデータを二重化
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効果:障害発生時もすぐにバックアップから切替え可能に
これらの企業は、「まずは一歩踏み出す」「できることから始める」ことを徹底し、実効性のある対策を実現しました。
まとめ:クラウド障害とBCP/DRの備えを今こそ
クラウドは業務効率化の強力な武器ですが、同時に「止まると業務全体が止まる」という大きなリスクも抱えています。BCPやDRの備えは、大企業だけの話ではありません。むしろリソースが限られている中小企業だからこそ、リスクを想定し、小さな工夫と投資で大きな損失を防ぐ準備が必要です。
本記事では、
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クラウド障害のリスクとBCPの意義
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中小企業でも実践できるDR設計の方法
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マルチリージョンやバックアップ戦略の実例
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今日から始められる段階的な対策ロードマップ
について具体的にご紹介してきました。
一度でもトラブルが発生すれば、その損失は数十万円~数百万円に及ぶこともあります。そうなる前に、「何ができるか」を整理し、小さな対策から始めましょう。
御社でも、まずは「チェックリストで現状確認」からスタートしてみてはいかがでしょうか?
不安な点や、クラウド・BCP設計に関するご相談がありましたら、ぜひお気軽に当社までお問い合わせください。中小企業の現実に寄り添ったBCP・DR設計をご提案いたします。
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