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Pleasanter×外部連携」で業務効率アップ!クラウドやデータベースとの連携で広がる活用法とは?

はじめに:外部連携で拡張するPleasanterの魅力
中小企業にとって、業務の効率化は喫緊の課題です。限られた人員とリソースで多様な業務をこなす中で、「手作業の多さ」「データの分散」「情報共有の煩雑さ」など、業務改善を阻む壁に直面している企業は少なくありません。
そうした課題を解決する手段として注目されているのが、ノーコード・ローコードで業務アプリを作成できる「Pleasanter(プリザンター)」です。顧客管理・案件管理・日報管理など、あらゆる業務にフィットするアプリを自社で柔軟に構築できるのが特長ですが、さらに外部データベースやクラウドサービスとの連携を行うことで、業務効率化の可能性は飛躍的に広がります。
本記事では、Pleasanterが持つ外部連携機能の全体像と、中小企業の現場で実践できる活用パターンを、具体的な例とともにご紹介します。
外部データ連携のメリットと課題
Pleasanterは単体でも高機能な業務アプリを構築できますが、**外部システムと連携することで「情報の一元管理」「業務の自動化」「最新データのリアルタイム反映」**といったDX効果がより高まります。一方で、連携にはセキュリティや運用面の注意点も伴います。ここではその両面を整理していきましょう。
1つの画面でデータを一元管理できるメリット
多くの企業では、顧客情報はCRM、商品情報はExcel、勤怠は別システム…と情報がバラバラに管理されている状態が一般的です。このような「情報の分散」は、確認・共有・更新に手間がかかるだけでなく、業務の属人化やミスの原因にもなります。
Pleasanterに外部データベースを連携させることで、複数の情報ソースを“1つの画面”で一元管理できるようになります。たとえば以下のような統合管理が実現できます。
従来の運用 | Pleasanter連携後 |
---|---|
顧客情報:Excel管理 | 顧客情報:外部DBから取得し表示 |
案件情報:営業支援ツール | 案件情報:REST APIで自動反映 |
見積書:PDFで個別保存 | 見積書:クラウドストレージと連携し一元表示 |
手作業の転記ミスや確認漏れを防げる
多くの中小企業では、日常的に「Excelからシステムへの手入力」「Web画面から帳票への転記」といった人手によるデータ移動が発生しています。こうした作業は、時間がかかるだけでなく、ミスの温床でもあります。
Pleasanterを外部システムとAPI連携することで、これらの手入力作業を自動化・省力化できます。たとえば以下のような業務で効果を発揮します。
-
Webフォームから受け取った問い合わせ内容を、API経由で自動登録
-
他システムで登録された顧客情報を、スケジュール実行で反映
-
Excelで管理している出荷予定表を、CSVアップロード連携で取り込み
これにより、**「入力ミスが原因で納期に遅れた」「情報更新がされておらず二重対応してしまった」**といったトラブルを未然に防ぐことができ、安心してデータを扱える体制が整います。
「リアルタイム更新」で判断のスピードが上がる
変化の早い現代のビジネスにおいて、「情報の鮮度」は競争力に直結します。特に在庫や売上、納期など、リアルタイム性が求められる業務においては、常に最新データを確認できる環境が不可欠です。
Pleasanterでは以下のような形でリアルタイムデータ連携を実現可能です。
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REST API経由で外部データベースから都度取得(オンデマンド方式)
-
WebhookやRPAでイベントトリガーによる自動反映
-
外部バッチ処理との連携で定期的に情報を同期
こうした連携によって、たとえば**「今この瞬間の在庫情報を営業担当が即確認できる」**といったスピーディな対応が可能になります。リアルタイム更新は単なる便利機能ではなく、ビジネスの判断力と対応力を高める仕組みと言えるでしょう。
セキュリティ・運用面で注意すべき課題とは
外部連携を行う上では、「セキュリティ」と「運用の継続性」にも目を向ける必要があります。たとえ業務が便利になっても、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを放置しては本末転倒です。
以下に、Pleasanter外部連携時に押さえておくべきポイントを整理します。
セキュリティ対策 | 内容 |
---|---|
アクセス制限 | APIキーやIP制限による認証管理 |
通信の暗号化 | HTTPSを前提としたデータ送信 |
権限設定 | 誰が・何を・どこまで見られるかの制御 |
ログ管理 | 連携エラーやアクセスログの記録と監視 |
外部連携を「業務の土台」として活用していくには、技術と運用の両輪で支える視点が必要です。
Azure・AWS・Googleスプレッドシート連携例
外部連携を進めるうえで、「実際にどんなサービスとつなげられるのか?」という点は非常に気になるところです。Pleasanterは、Microsoft AzureやAWS、Googleスプレッドシート、クラウドストレージといった代表的な外部サービスとの連携に対応しています。ここでは、具体的な連携例とその業務上のメリットをご紹介します。
Microsoft Azureとのデータ連携でクラウド一元管理
Microsoft Azureは、企業の基幹業務でも広く採用されているクラウドプラットフォームです。PleasanterとAzure SQL Databaseを連携させることで、Microsoft製品と親和性の高い業務基盤が構築できます。
たとえば、以下のような連携が可能です。
-
Azure SQLに登録された顧客情報を、Pleasanter上に自動反映
-
Microsoft Power BIと連携し、Pleasanter上のデータを可視化
-
Active Directory連携によるシングルサインオン
特にMicrosoft 365をすでに導入している企業であれば、同一アカウントでログイン・管理が統一できるため、運用負荷の軽減にもつながります。ExcelやTeamsとの連携も視野に入れると、Pleasanterを中核としたMicrosoft連携業務アプリの展開が可能になります。
AWS(RDS)連携で拡張性の高い業務基盤を構築
AWS(Amazon Web Services)は、柔軟なスケーリングと豊富なサービス群を持つ世界最大のクラウド基盤です。PleasanterとAWSのRDS(Relational Database Service)を連携することで、拡張性と信頼性を兼ね備えた業務アプリ環境を実現できます。
たとえば、次のような活用例があります。
-
RDS(MySQLやPostgreSQLなど)で管理している受注データをPleasanterに取り込み
-
外部システム(ECサイトや業務システム)とRDSを介して連携し、アプリに反映
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AWS LambdaやStep Functionsで、データ同期の自動処理を構築
このようにAWSとの連携は、将来の拡張性や他サービスとの統合を見据えた設計に適しており、成長フェーズにある中小企業にとっても大きな武器となります。
GoogleスプレッドシートとAPI連携で“手軽な”自動化
日々の業務で頻繁に使われるGoogleスプレッドシートとの連携は、Pleasanter活用の中でも最も“身近で手軽な自動化手段”と言えるでしょう。
Google Sheets APIと連携することで、以下のようなことが可能になります。
-
担当者がスプレッドシートに入力した内容を、Pleasanterに自動登録
-
Pleasanter上で入力した進捗状況を、Googleシートに自動反映
-
シートの更新トリガーで通知や承認ワークフローを連動
こうした仕組みを構築すれば、「毎週Excelをコピーしてメール添付」といった手間のかかる作業を削減でき、現場のストレスが減ると同時にミスも防げます。
特にITスキルが高くない現場でも、「Googleシートなら触れる」というケースが多く、既存の運用を変えすぎずにDXが進められる点が大きな魅力です。
外部ストレージとの連携によるファイル一元管理
業務で扱うデータは、数値やテキストだけではありません。議事録・報告書・契約書・画像など、さまざまなファイルも一元管理する必要があります。PleasanterはBoxやSharePointなどの外部ストレージと連携でき、業務データと関連ファイルを紐づけて管理することが可能です。
以下のような使い方が代表例です。
-
案件アプリ内に関連資料(PDF・画像・Excel)をリンク・プレビュー表示
-
ワークフロー中で承認されたファイルをBoxへ自動保存
-
SharePoint上のフォルダ構造とPleasanterのアプリ構成を一致させる
このようにファイルと業務プロセスが連動することで、「あの資料どこだっけ?」という検索の手間を省け、ファイルの所在・履歴が明確になります。情報の信頼性と利便性を両立できる点で、文書業務を扱う部門にとって非常に有用な機能です。
API活用によるデータ連携の自動化
業務システムの外部連携をより柔軟に、かつ自動的に行うにはAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の活用が不可欠です。PleasanterはREST APIを標準搭載しており、他システムとの連携をノンプログラミングで実現できる仕組みも整っています。ここでは中小企業でも導入可能なAPI活用のアイデアをご紹介します。
REST APIとは?中小企業でも使える技術
「API」と聞くと、プログラミングの知識が必要で難しそう…という印象を持つ方も多いかもしれません。しかし、Pleasanterが対応するREST APIは、HTTPを使ってシンプルにデータの送受信を行える方式で、比較的わかりやすく、活用のハードルも高くありません。
たとえば、次のような操作がREST APIを使って可能になります。
-
新しいデータの登録(POST)
-
既存データの取得(GET)
-
データの更新(PUT)
-
データの削除(DELETE)
これらを活用することで、Pleasanterと他システムの間で人が手を動かさなくても情報をやり取りできる仕組みを構築できます。
簡単なツールであれば、PostmanのようなGUIベースのアプリを使ってAPIの動作確認ができ、専門知識がなくても連携のテストが可能です。「自動で情報が動く」という体験がAPI導入の第一歩になります。
定期実行・トリガー連携で業務の流れを自動化
APIとあわせて活用したいのが、**「定期実行」や「トリガーによる連携」**です。これにより、業務の流れを完全に自動化し、人の操作を不要にすることができます。
以下は、よくある自動化のパターンです。
タイミング | 自動処理の例 |
---|---|
毎日朝9時 | 最新売上データを外部DBから取得しPleasanterに反映 |
データ登録時 | Pleasanterに新規登録された案件情報を外部システムに通知 |
ステータス変更時 | 承認完了後、自動でファイルを指定フォルダに保存 |
「自動で業務が流れていく」状態は、社員の負担軽減だけでなく、処理の漏れ・遅れといった人的ミスの回避にも効果的です。
既存システムとのつなぎ役として活用する方法
Pleasanterは単なる「データ管理アプリ」ではなく、他システムの中間に立つ“つなぎ役”としても機能します。特に中小企業では、古いオンプレミスの業務ソフトと新しいクラウドサービスを両方使っているケースも多く、それらを橋渡しする仕組みが求められています。
以下のような連携構成が一例です。
販売管理システム(オンプレ) ⇔ Pleasanter ⇔ BIツール(クラウド)
このようにPleasanterを経由することで、古いシステムのデータをクラウド環境に橋渡ししたり、古いシステムに直接触れずに情報を確認できるなど、柔軟な業務設計が可能になります。
特に以下のような中小企業に適しています:
-
既存システムの改修が難しく、APIが用意されていない
-
担当者が頻繁にExcelでデータを出力・手作業で加工している
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クラウドBIや経営ダッシュボードと連携したい
Pleasanterをハブとして活用すれば、既存環境を活かしながら業務の最新化・可視化が段階的に進められるのです。
プログラムなしでもAPI連携できるローコード手法
「自社にエンジニアがいない」「コーディングは難しい」という中小企業の方にも安心していただけるのが、Power AutomateやZapierなどのローコード連携ツールの存在です。
これらのツールは、API連携の裏側をツールが処理してくれるため、画面上で操作を組み合わせるだけで自動化が実現できます。
たとえば、Power Automateを使えば以下のような処理が設定可能です。
-
新規メール受信 → 添付CSVを解析 → Pleasanterへデータ登録
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Googleフォームの送信内容 → API経由でPleasanterに転記
-
Dropboxに保存されたPDF → SharePointへ移動しPleasanterにリンク追加
このように、ノーコードでも業務プロセスを連携・自動化できるため、「現場主導の業務改善」が可能になります。小さく始めて徐々に広げることで、無理なくDXを推進する流れが作れるのです。
安全なデータ統合のためのポイント
外部システムと連携して業務の自動化・効率化を実現するには、その土台となる「安全性」や「整合性」を確保することが不可欠です。特に中小企業においては、少人数体制でも持続的に運用できるよう、事前の設計・管理ルールの策定が重要です。ここでは、Pleasanterを用いた外部連携において押さえるべき安全管理の視点を整理します。
データベース接続のセキュリティ基本対策
データベースやAPIとの接続を行う際には、適切なセキュリティ対策を講じることが最優先事項です。具体的には、以下のような対策が求められます。
対策項目 | 内容 |
---|---|
アクセス認証 | APIキーやベーシック認証を活用し、第三者の不正アクセスを防止 |
IP制限 | 接続元IPを制限し、信頼できる環境以外からの通信を遮断 |
通信の暗号化 | HTTPではなく**HTTPS(SSL/TLS)**での通信を徹底 |
ロール・権限管理 | アカウントごとに編集・閲覧範囲を制限することで情報漏えいを防止 |
データ整合性を保つための運用ルール
外部データを取り込む際に起こりがちなのが、「重複登録」「更新漏れ」「形式不一致」などの整合性の問題です。こうしたトラブルを防ぐには、あらかじめ運用ルールを整備し、確認プロセスを組み込むことが重要です。
以下に整合性を保つためのポイントを示します。
-
ユニークID(主キー)による照合で重複登録を防ぐ
-
更新日時を基に新しいデータのみ反映する仕組みにする
-
項目のフォーマット(例:日付、通貨、選択肢)を統一
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エラー発生時はログに記録し、管理者に通知
さらに、「データ連携前後でプレビュー確認を行う」「自動処理前に手動承認ステップを挟む」など、柔軟にフローを組めるのがPleasanterの強みです。業務特性に応じたルール設定で、誤更新や事故を未然に防げます。
バックアップとログ管理の重要性
外部連携を活用することで、情報の流通量が増え、操作や処理ミスによる影響範囲も広がります。そのため、障害やトラブルが発生した際に備えたバックアップ体制とログ管理が欠かせません。
Pleasanterでは以下のような対応が可能です。
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アプリ単位のバックアップ取得(手動・自動)
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操作履歴・更新履歴の記録と閲覧
-
API実行ログの蓄積とエラーチェック
たとえば、「昨日分のデータに誤登録があった」と判明した場合でも、履歴から正確な差分を確認して復旧できます。定期的にバックアップを取得し、トラブル時に迅速なリカバリができる体制を整えておくことで、安心して自動化を推進できるのです。
社内に広げる際の教育・マニュアル整備
システムをどれだけ整備しても、実際に運用するのは“人”です。せっかく外部連携を構築しても、使い方がわからなければ活用されずに終わってしまうケースも少なくありません。
導入初期から以下のような定着支援策を講じることが大切です。
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説明会やトレーニングの実施
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操作手順を画面キャプチャ付きマニュアルにまとめる
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よくあるトラブルと対処法をFAQ形式で公開
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SlackやMattermostなどで「相談できる窓口」を明確にする
また、管理者自身が「活用方法を社内に啓蒙する立場」であるという意識を持つことで、システム導入の成功率は格段に向上します。
まとめ:Pleasanter×外部連携で中小企業の業務改善を現実に
Pleasanterは、ノーコード・ローコードで業務アプリを構築できるだけでなく、外部データベースやクラウドサービスとの柔軟な連携が可能なツールです。これにより、中小企業でも既存の業務環境を活かしながら、無理なくDXを実現できます。
本記事では以下のような視点で、外部連携の実践方法をご紹介してきました。
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データの一元管理・ミス削減・リアルタイム反映による業務改善
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Azure、AWS、Google Sheets、クラウドストレージとの具体的な連携事例
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APIやローコードツールを活用した自動化と既存システムとの融合
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セキュリティ・整合性・定着支援といった運用面のポイント
Pleasanterを中核に据えることで、業務の可視化と効率化、そして“自社に合ったDX”を段階的に推進できるのです。
「まずはGoogleシートとの連携から」「手動作業を1つだけ自動化してみる」といった小さな一歩からでも構いません。ぜひこの記事を参考に、外部連携を活用した業務改善に挑戦してみてください。
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