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紙の申請・承認業務を電子化すると何が変わる?作業時間を約70%削減する業務改善シミュレーション

紙の申請・承認業務には見えないムダが多い
「申請書に記入して、上司に承認してもらう」
一見すると、それほど時間のかからない業務に思えるかもしれません。
しかし、紙の申請・承認業務には、記入や承認以外にも多くの作業が発生しています。
- 申請書の様式を探す
- 必要事項を記入する
- 印刷して上司に提出する
- 承認印をもらう
- 次の承認者へ書類を回す
- 承認済み書類を回収する
- ファイリングして保管する
- 必要になったときに書類を探す
こうした作業は1件あたり数分でも、申請件数が増えるほど大きな負担になります。
また、紙の書類がどこで止まっているのか分からず、申請者が承認状況を問い合わせることもあります。
では、これらの業務をワークフローシステムで電子化すると、どの程度の効率化が期待できるのでしょうか。
今回は、紙申請の作業工程をモデル化し、電子化前後の処理時間を比較したシミュレーションを紹介します。
電子化すると1件27分の作業が8分に?
紙申請に関わる作業を洗い出し、ワークフローシステムで電子化した場合の処理時間を試算すると、次のような結果になりました。
| 比較項目 | 紙申請 | 電子化後 |
|---|---|---|
| 1件あたりの作業時間 | 27分 | 8分 |
| 削減時間 | 19分/件 | |
| 削減率 | 約70% | |
電子化によって、1件あたり19分の作業時間を削減できるという試算です。
ただし、これは実際の企業で測定した導入実績ではなく、一定の作業時間を設定したモデルケースです。
企業ごとの申請内容や承認ルート、現在の運用方法によって、削減できる時間は異なります。
注目したいのは、申請内容の確認や承認判断を省略するのではなく、紙の検索・印刷・回付・保管などの付帯作業を減らせることです。
紙申請のどの作業を削減できるのか
それでは、具体的にどの作業が削減対象になるのでしょうか。
今回のモデルケースでは、申請者・承認者・管理部門の12工程を比較しています。
| 担当 | 作業 | 紙申請 | 電子化後 |
|---|---|---|---|
| 申請者 | 申請書の検索 | 2分 | 0分 |
| 記入 | 5分 | 3分 | |
| 印刷 | 1分 | 0分 | |
| 提出 | 2分 | 0分 | |
| 承認状況の確認 | 3分 | 0.5分 | |
| 承認者 | 受取 | 1分 | 0分 |
| 内容確認 | 3分 | 3分 | |
| 押印・承認 | 1分 | 0.5分 | |
| 回付 | 2分 | 0分 | |
| 管理部門 | 回収 | 2分 | 0分 |
| ファイリング | 2分 | 0分 | |
| 検索・保管 | 3分 | 1分 |
電子化後も、申請内容の入力や確認、承認判断といった業務は残ります。
一方で、紙の受渡しや印刷、回収、ファイリングといった物理的な作業は不要になることが期待できます。
特に、複数の承認者を経由する申請では、書類を次の担当者へ届ける作業を電子的な回付へ置き換えられることが大きなメリットです。
申請者・承認者・管理部門それぞれの効果
申請者:13分から3.5分へ
申請書の検索、印刷、提出といった作業を減らし、電子フォームへの入力が中心になります。
また、承認状況をシステム上で確認できれば、承認者へ問い合わせる負担も軽減できます。
承認者:7分から3.5分へ
紙の受取や次の承認者への回付を減らし、内容確認と電子承認に集中できます。
承認判断に必要な時間を確保しながら、付帯作業を削減することがポイントです。
管理部門:7分から1分へ
承認済み書類の回収やファイリングを電子的な管理へ置き換えられます。
紙の保管場所を確保する必要が減り、過去の申請を検索する作業も効率化できます。
このように、ワークフローの電子化は申請者だけでなく、承認者や管理部門を含む組織全体の業務改善につながります。
月間1万件なら年間約3万8,000時間の削減余地
1件あたり19分の削減でも、申請件数が増えると効果は大きくなります。
例えば、月間1万件の紙申請を処理している企業を想定してみましょう。
| 項目 | 試算結果 |
|---|---|
| 月間申請件数 | 10,000件 |
| 1件あたり削減時間 | 19分 |
| 月間削減時間 | 約3,166.7時間 |
| 年間申請件数 | 120,000件 |
| 年間削減時間 | 約38,000時間 |
計算式は次の通りです。
19分 × 10,000件 ÷ 60 = 約3,166.7時間/月
19分 × 120,000件 ÷ 60 = 約38,000時間/年
月間1万件の申請を電子化し、1件あたり19分を削減できた場合、年間約3万8,000時間の業務時間を削減できる計算になります。
もちろん、すべての申請が同じ時間だけ短縮されるとは限りません。
しかし、日常的に繰り返される業務だからこそ、1件あたりの小さな改善が年間では大きな効果につながることが分かります。
年間約1.14億円相当の時間価値とは
削減できる時間を金額に換算すると、業務改善の規模をさらにイメージしやすくなります。
時間単価を3,000円と仮定した場合、
38,000時間 × 3,000円 = 114,000,000円
年間約1.14億円相当の時間価値となります。
ただし、これは人件費が実際に1.14億円減少するという意味ではありません。
削減された時間を、顧客対応、業務改善、企画、分析など、より付加価値の高い業務へ振り向けられる可能性を示しています。
時間価値の創出と、実際のコスト削減は分けて考えることが重要です。
費用対効果を評価する際には、システムの初期費用、利用料、運用費用、導入作業なども含めて検討する必要があります。
電子化の効果は作業時間の削減だけではない
紙申請を電子化するメリットは、作業時間の削減だけではありません。
申請から承認までのリードタイム短縮
紙の申請では、承認者が不在の場合に書類が止まったり、次の担当者へ書類を届けるまでに時間がかかったりします。
電子化すれば、承認依頼の通知や電子的な回付によって、こうした待ち時間の削減が期待できます。
申請状況の可視化
「誰が承認待ちなのか」「どの段階まで進んでいるのか」を確認できれば、問い合わせや確認作業を減らせます。
書類の紛失・保管リスクの軽減
紙の申請書は紛失や破損のリスクがあり、保管場所の確保も必要です。
電子化によって、適切なアクセス権限やバックアップを前提としたデータ管理へ移行できます。
テレワーク・外出先からの承認
利用環境が整っていれば、オフィスにいなくても申請・承認できるようになります。
紙の書類を受け渡すためだけに出社する必要を減らせることも、電子化のメリットです。
紙申請を電子化するときの進め方
紙申請を電子化する場合、すべての申請を一度にシステム化する必要はありません。
まずは現在の申請業務を洗い出し、優先順位を付けることが重要です。
ステップ1:申請書の種類と件数を整理する
どのような申請書があり、それぞれ月に何件利用されているかを確認します。
ステップ2:現在の作業時間を測定する
申請書の作成、印刷、提出、承認、回付、保管などにかかる時間を把握します。
ステップ3:電子化後も必要な作業を整理する
電子化しても内容確認や承認判断は必要です。不要になる作業と残る作業を区別します。
ステップ4:件数が多く、改善効果が高い申請から始める
利用頻度が高く、承認ルートが比較的シンプルな申請から電子化すると、効果を検証しやすくなります。
ステップ5:実測して改善を続ける
導入後は、実際の処理時間、承認までの日数、問い合わせ件数などを測定し、想定した効果が得られているかを確認します。
シミュレーションだけで終わらせず、実際の業務データをもとに改善を続けることが大切です。
よくある質問
紙申請を電子化すると、どれくらい時間を削減できますか?
業務内容や運用方法によって異なります。今回のモデルケースでは、1件あたり27分の処理時間が8分になり、19分、約70%の削減が見込まれるという試算になりました。これは実測値ではありません。
ワークフローシステムで削減できる作業は何ですか?
申請書の検索、印刷、提出、受取、回付、回収、ファイリング、保管などの付帯作業です。申請内容の入力、確認、承認判断などは電子化後も必要です。
紙申請を電子化すると人件費も削減できますか?
作業時間の削減が、そのまま人件費の削減になるとは限りません。削減された時間を他の業務へ再配分することで、生産性の向上につなげられる可能性があります。
申請件数が少ない企業でも電子化するメリットはありますか?
あります。時間削減効果が小さくても、承認状況の可視化、書類管理の効率化、テレワーク対応などのメリットが期待できます。ただし、導入費用とのバランスを確認する必要があります。
紙申請を電子化すると承認までの時間も短くなりますか?
紙の移動や受渡しによる待ち時間を削減できれば、承認リードタイムの短縮が期待できます。ただし、承認者による判断待ちなど、電子化だけでは解消しない時間もあります。
まとめ:紙をなくすのではなく、ムダな作業をなくす
紙申請の電子化は、単に紙の書類をデジタルへ置き換えることではありません。
申請書の検索、印刷、提出、回付、回収、ファイリング、保管など、これまで当たり前に行っていた付帯作業を見直す機会でもあります。
今回のモデルケースでは、1件あたり27分の作業時間を8分に短縮し、約70%の削減が見込まれるという試算になりました。
月間1万件の申請がある場合には、年間約3万8,000時間の削減余地となります。
ただし、削減率や効果は企業ごとの業務内容によって異なります。
紙申請の電子化で重要なのは、承認判断を省略することではなく、承認に付随するムダな作業をなくすことです。
まずは自社の紙申請を洗い出し、1件あたり何分かかっているのかを確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

