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チームチャットを社内ポータル化する方法:Mattermostの情報集約術

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はじめに:Mattermostで実現する情報集約と社内ポータル化

中小企業の現場では、「必要な情報がどこにあるのかわからない」「誰に聞けばよいのか不明」といった課題が日常的に発生しています。たとえば、営業が顧客に提出する最新の提案書を探しているのに、メールの添付ファイル・ファイルサーバー・個人のPC・チャットの履歴といった複数の場所を行き来しなければならないことはないでしょうか。こうした状況は、業務効率を大きく下げるだけでなく、情報漏洩や属人化のリスクを高める要因ともなります。

近年、多くの企業が情報集約の解決策として注目しているのが「社内ポータル」の導入です。しかし、専用のポータルサイトを新規構築するにはコストや工数がかかり、中小企業にとってはハードルが高いケースも少なくありません。そこでおすすめしたいのが、既に業務で利用しているビジネスチャットを「社内ポータル」として活用する方法です。

特にオープンソースで柔軟にカスタマイズできるMattermostは、中小企業でも低コストで導入でき、情報の一元化を実現しやすいツールです。本記事では、Mattermostを「社内ポータル」として活用する方法を体系的に解説し、実際の現場で使える工夫や事例をご紹介します。

Mattermostサービスページ

情報が分散することのリスク

まずは「なぜ情報を集約する必要があるのか」を確認しましょう。情報が分散したままの状態では、業務にさまざまな悪影響を及ぼします。ここでは、中小企業でよく見られる課題を整理します。

ファイルや情報が探しづらくなる原因

企業内で情報が散在する典型的なケースは以下の通りです。

  • メールの添付ファイルに情報が埋もれてしまう

  • ファイルサーバーのフォルダ構造が部署ごとにバラバラ

  • チャットツールの会話履歴に重要な情報が流れていく

  • 個人PCやローカル保存に資料が眠っている

こうした状態では、「どこに保存したか」が分からず、同じ資料を探すために1人あたり1日30分以上の時間をロスするといわれています。中小企業にとっては、その時間が積み重なることで大きな非効率を生むのです。

社員の声としても、

「前回の契約書ってどこに保存してありましたっけ?」
「あの資料はAさんのPCにしか入っていないんですよね」

といったやり取りが頻発し、業務の停滞を招きます。

意思決定の遅延につながる情報迷子

情報が分散すると、意思決定にも悪影響が及びます。例えば、営業部が顧客対応を行う際、最新の価格表や納期情報を確認できないと、見積提出が遅れたり、誤った情報を伝えてしまうリスクが生じます。

また、経営層が判断を下す際にも、必要な情報を集めるのに時間がかかれば、機会損失を招きかねません。競争が激しい市場においては、「情報を素早く見つけられるかどうか」が企業の成長速度を左右するといっても過言ではありません。

意思決定のスピードを確保するためには、誰でも同じ場所から同じ情報にアクセスできる仕組みが不可欠です。

セキュリティ事故のリスク

情報が複数の場所に散らばっていると、管理が不十分になり、セキュリティリスクも高まります。具体的には次のような問題が起こり得ます。

  • 誤送信による外部流出

  • 古いファイルの使い回しによる情報齟齬

  • 権限がない社員でも閲覧できてしまう状況

特に中小企業では、専任の情報システム担当者が少なく「どこに何があるか把握しきれない」という状況になりやすいため、情報漏洩リスクの温床になりがちです。

実際、IPA(情報処理推進機構)の調査によると、中小企業における情報漏洩インシデントの多くは「管理不備」に起因しています。情報を一元化することは、業務効率だけでなくセキュリティ強化にも直結するのです。

Mattermostを社内ポータルにする考え方

情報が分散するリスクを理解したところで、次に「ではどうやって解決するのか」という視点に移ります。ここで有効なのが、Mattermostを社内ポータルとして活用する発想です。専用のポータルを新規構築するよりも低コストかつ短期間で導入でき、中小企業でも実現可能なアプローチです。

以下では、Mattermostを社内ポータルにする具体的な考え方を解説します。

チャットを「情報の玄関口」にする発想

社内ポータルに求められる役割は、「どこからでも、誰でも、必要な情報にアクセスできること」です。Mattermostを社内の全社員が毎日使う「玄関口」と位置づけることで、情報の入口を一元化できます。

たとえば、次のような仕組みを導入することで、Mattermostは自然とポータル機能を果たします。

  • 社内規程やマニュアルへのリンクをトップチャンネルに設置

  • 全社的な周知事項は必ずMattermostで発信

  • 外部クラウドストレージや業務システムの入口リンクを固定投稿で掲載

「まずはMattermostを見れば分かる」という文化を社内に根付かせることが、ポータル化の第一歩です。

チャンネル設計で社内情報を可視化

Mattermostをポータルとして機能させるには、チャンネル設計の工夫が欠かせません。部署別・プロジェクト別・用途別に整理されたチャンネル構成は、情報を探しやすくし、属人化を防ぎます。

以下に、代表的なチャンネル設計例を表にまとめました。

チャンネル種別 目的 具体例
全社共通チャンネル 社員全員が閲覧すべき情報の周知 #company-news(会社全体のお知らせ)、#rules(社内規程)
部署別チャンネル 部署内での情報共有・タスク整理 #sales(営業部)、#hr(人事総務)、#dev(開発)
プロジェクトチャンネル プロジェクト進行管理・課題共有 #project-ABC(案件ごとの進捗管理)
ナレッジチャンネル マニュアル・ノウハウの蓄積 #faq(よくある質問)、#how-to(操作手順集)

このように体系化されたチャンネル設計により、社員は「どこを探せばいいか」が直感的に分かるようになります。

外部サービス連携による集約

Mattermostの大きな強みのひとつが、外部サービスとの柔軟な連携です。日常的に使うツールから情報をMattermostに集約することで、チャットが実質的な「社内情報ハブ」となります。

代表的な連携例を整理すると、次の通りです。

外部サービス 連携内容 メリット
Google Drive / OneDrive ファイルのアップロード・リンク共有 常に最新バージョンのファイルにアクセス可能
GitLab / GitHub コミットやプルリク通知をチャンネルに流す 開発チームの進捗を即時把握
Jira / Redmine タスク更新を自動通知 プロジェクト進行の透明性向上
Zoom / Teams 会議リンクを自動投稿 会議参加の手間を削減

このように外部サービスをMattermostに「集める」設計にすることで、社員はまずMattermostを確認する習慣が自然に身につきます。結果的に、「探すのではなく、届く情報を見る」という効率的な働き方が実現します。

投稿ルール・固定投稿・ピン留めの活用

Mattermostを「社内ポータル」として定着させるためには、情報整理のルール作りが欠かせません。せっかく情報を集約しても、無秩序に投稿されてしまえば、結局「探しづらい」状態に逆戻りしてしまいます。ここでは、全社的に活用できるルールと機能活用の工夫を紹介します。

全社ルールで「情報を見やすく」する

社員が投稿する内容に一定のルールを設けるだけで、情報の可視性は格段に向上します。たとえば、以下のようなルールは即効性があります。

  • 件名ルール:「【至急】」「【周知】」「【資料共有】」などを先頭につける

  • ファイル命名規則:「部署名_日付_内容」で保存する(例:sales_2025-09-01_見積書.pdf

  • ハッシュタグ活用:「#FAQ」「#社内規程」などタグを使い、後から検索しやすくする

実際に総務部が導入したルールでは、社員からこんな声がありました。

「件名が統一されているおかげで、緊急度がひと目で分かるようになった」
「タグ検索で関連投稿を一気に探せるのが便利」

このように、小さな工夫でも情報検索の手間を大幅に削減できます。

固定投稿で必須情報を掲示

Mattermostには「固定投稿(チャンネルヘッダー)」機能があり、常に上部に表示させたい情報を掲載できます。これを利用すれば、全社員が必ず目にする「デジタル掲示板」として機能します。

具体的に固定投稿で掲示すると便利な情報は以下の通りです。

固定投稿の内容 活用シーン メリット
社内規程やマニュアルへのリンク 新入社員が規則を確認するとき 情報を探す手間がゼロになる
よくある質問(FAQ) 社員からの問い合わせ削減 同じ質問が繰り返されなくなる
各種申請フォームへのリンク 経費精算や休暇申請 書類探しや問い合わせを防止
ITシステムの障害対応フロー トラブル時の初動対応 緊急時に迷わず行動できる

固定投稿を「社内の入り口」として整備すれば、Mattermostが実質的な社内ポータルサイトの役割を果たすようになります。

ピン留めで重要情報を残す

チャットはリアルタイム性が高い反面、重要な投稿が流れてしまうという課題があります。そこで便利なのが**「ピン留め」機能**です。ピン留めしたメッセージはチャンネル内で一覧表示されるため、検索せずともすぐにアクセスできます。

例えば営業部門での使い方は次の通りです。

  • 最新の価格表をピン留め

  • 今月の売上目標をピン留め

  • 顧客対応マニュアルをピン留め

実際の画面イメージとしては、営業チャンネルで社員がこう発言します。

「今月の価格表はどこですか?」
→ マネージャーが「ピン留めに置いてあるから、そこから見てください」と案内

この運用を徹底すると、「探す時間ゼロ」が実現でき、社員同士のやり取りもスムーズになります。

各部署別に情報を整理する工夫

Mattermostを「社内ポータル」として機能させるためには、部署ごとに適したチャンネル設計と情報整理の工夫が必要です。部署によって扱う情報や業務フローは大きく異なるため、ポータルとしての使い方も変わります。ここでは、総務・人事、営業、製造・開発チームを例に、実際の工夫を解説します。

総務・人事チャンネルで周知を一本化

総務・人事部門は「全社員が必ず確認すべき情報」を扱うため、Mattermostの周知窓口としての役割が大きくなります。

具体的には以下のような情報をまとめると効果的です。

情報の種類 チャンネルでの運用方法 メリット
社内規則・就業規則 固定投稿でリンクを常設 新入社員でも迷わずアクセス可能
福利厚生案内 チャンネル内で定期投稿 社員の利用促進につながる
各種申請フォーム ピン留めで常時表示 申請遅延や問い合わせを防止
社員連絡事項 「#general」や「#hr-news」で統一 メール重複を防ぎ、見逃しを減らす

例えば、休暇申請について社員が質問した際に、

「申請フォームはどこですか?」
→ 総務担当者「#hr-news チャンネルのピン留めにあります」

といったやり取りが成立し、メールや口頭での確認が不要になります。

営業部門で案件情報を共有

営業部門では、顧客や案件に関する情報が日々更新されます。そのため、Mattermostを「案件共有ポータル」として活用することで、個人依存を減らし、チームでの営業活動を強化できます。

効果的な活用例は以下の通りです。

  • 案件チャンネルを顧客別・案件別に作成

  • 最新の見積書や価格表をピン留め

  • 進捗管理を外部ツール(JiraやTrello)と連携

  • 重要な顧客対応はチャンネルで記録

表に整理すると以下のようになります。

活用シーン チャンネル機能 効果
案件進捗共有 プロジェクトチャンネル+外部連携 状況が全員に可視化され、報告時間を削減
顧客対応履歴 投稿+ハッシュタグ(例:#顧客名) 過去の対応を検索でき、引き継ぎがスムーズ
提案資料の管理 ファイル共有+ピン留め 最新資料の誤使用を防ぐ
営業ナレッジ共有 「#sales-knowledge」チャンネル 成功事例を蓄積し、教育にも活用

営業部の若手社員からも、

「過去の対応履歴を見ればすぐに顧客の特徴がわかる」
という声が上がり、教育コストの削減にもつながります。

製造・開発チームでナレッジ蓄積

製造や開発チームでは、トラブル対応や作業手順が属人化しやすいという課題があります。Mattermostを活用してナレッジを集約する仕組みを整えれば、再利用性が高まり、教育コストも削減できます。

具体的な工夫は以下の通りです。

  • 「#faq」チャンネルを設け、よくある質問と回答を集約

  • エラーメッセージや不具合報告を投稿し、解決方法を追記

  • 操作手順やマニュアル動画へのリンクを固定投稿に設置

表にすると次のようになります。

情報の種類 投稿方法 メリット
エラー・不具合報告 投稿+解決コメント 同じ問題を繰り返さず効率化
作業手順 マニュアルリンクを固定投稿 新人教育の時間短縮
開発進捗 GitLab連携で自動通知 タスクの見える化
技術ナレッジ 「#tech-knowledge」に蓄積 属人化を防ぎ、組織全体の資産に

こうした活用により、「誰かが知っている情報」を「誰でも見られる情報」に変換できます。これこそがMattermostをポータル化する大きな価値です。

実例:情報迷子を防ぐチャットポータル活用法

これまで紹介した方法を実際に導入すると、どのような成果が得られるのでしょうか。ここでは中小企業での実例をもとに、Mattermostを社内ポータル化する効果を具体的に見ていきます。

中小企業A社の導入事例

A社(従業員80名)は、以前はメール・ファイルサーバー・個人PCと情報が分散しており、社員から「どこに情報があるのか分からない」という不満が頻発していました。特に新入社員は、過去資料を探すのに1日1時間以上のロスがあり、教育担当者の負担も増えていました。

導入後は以下の工夫を実施。

  • 全社のお知らせは「#company-news」で一元管理

  • 規程や申請書は固定投稿にリンクを常設

  • 案件ごとにチャンネルを設け、進捗や資料を集約

その結果、情報探索にかかる時間を50%削減し、社員からは「まずMattermostを見れば解決する」という安心感が広がりました。

プロジェクト管理の効率化

B社(製造業・従業員150名)では、これまでプロジェクト進捗の報告がExcelとメールに依存しており、更新漏れや二重入力が頻発していました。Mattermost導入後は、Jiraと連携して進捗が自動でチャンネルに通知される仕組みを構築。

プロジェクトマネージャーは、毎朝メールを確認する代わりに「#project-ABC」チャンネルを見るだけで状況を把握できるようになりました。社員からは、

「報告のための資料作成が不要になり、本来の作業に集中できる」
と好評で、結果的に納期遵守率が大幅に向上しました。

「探す時間ゼロ」で働き方改革へ

C社(ITサービス業・従業員50名)は「探す時間」をなくすことで働き方改革を進めました。具体的には、

  • 重要資料をすべてピン留め

  • チャットボットで申請フォームへのリンクを自動案内

  • FAQチャンネルで問い合わせを自己解決できる仕組みを整備

導入前は「資料が見つからない」と質問が飛び交うことが日常茶飯事でしたが、導入後は質問件数が70%削減。社員は「探す」時間ではなく「生産的な業務」に集中できるようになり、残業時間の削減にもつながりました。

まとめ:Mattermostで実現する“情報迷子ゼロ”の社内ポータル

本記事では、Mattermostを活用して社内ポータルを実現する方法を解説しました。

  • 情報が分散すると、探す手間・意思決定の遅延・セキュリティリスクが発生する

  • Mattermostは「情報の玄関口」として機能し、チャンネル設計・外部連携で集約可能

  • 投稿ルール、固定投稿、ピン留めを活用すれば、社員全員が情報を迷わず活用できる

  • 部署ごとに最適なチャンネル設計を行うことで、周知・案件管理・ナレッジ蓄積が実現する

  • 実際の導入事例でも、情報探索時間削減・業務効率化・残業削減などの効果が確認されている

中小企業にとって「情報迷子」は大きなロスですが、Mattermostをポータル化することで、**「探さない働き方」**を実現できます。

もし、貴社でも「情報が分散して困っている」「ポータル導入にコストをかけられない」とお悩みなら、Mattermostを活用した情報集約をご検討ください。弊社では、初期設計から運用ルールづくり、外部連携までトータルでサポートいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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